tori


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※流血シーンあるので、苦手な方はスルーして下さい。


隕石かと思わせる程の凄まじい落雷と共に、青色の閃光が魁人の目の前に落ちた。
それを特に驚く様子もなく、そこに落ちる事を事前に知っていたかのように首を回して音を鳴らす。
そして口元に笑みを浮べ、整った綺麗な顔つきとは裏腹に藍色の瞳は一切輝きを見せなかった。
地響きと共に白煙が辺り一面を埋め尽くす。
その中心には隠す事の出来ない程の殺気が放たれ、その気迫だけで木々はもちろんの事、地面が激しく揺れた。
落ちたのは隕石でも落雷でもない。
人だったのだ。
魁人はそれさえもお見通しだと言わんばかりに貼り付けた笑みを浮かべるのみ。
未だ土砂降りで白煙により視界が見えない中、黒い影がゆらりと揺れ動く。
その一点が青色に光った。
次の瞬間、風を切る物凄い音と共にギョクレンが姿を現し、赤鬼目掛けて拳を振るう。
それを予め予期していたとばかりに自らの髪の毛により、完全に防御したのだった。

「ちっ…!」

ギョクレンが舌打ちをし、ギラリと青色の瞳が鋭く光る。
雷のような閃光に見えたものは、彼の瞳の色だったのだ。
一点だけが輝くように光ったのは、片目が眼帯で覆われていたからなのだろう。
互いに見つめあったまま、ギョクレンは上から圧をかけるよう赤鬼を睨みつけた。

(あの球の正体はこいつか)

一瞬で全てを悟り、ギョクレンが回し蹴りするもそれも全てガードされてしまった。
赤鬼の気配しかなかったから、その隣にいる魁人を見て、一瞬目を見開く。

(もうひとりいたのか)

まるで気配を感じさせず、殺気すらない。
作り物のような笑みを浮かべ、腕を組んでギョクレンを見つめているではないか。

「貴方の相手は私ですよ」

そう言って、赤い髪の毛を触手のように動かし、ギョクレンへ攻撃した。
胸を貫通させた、そう思った瞬間、物凄い速さで赤鬼の頬をパンチする。

「っ…!?」

まるで瞬間移動かのような高速技に、赤鬼の目が大きく見開かれた。

(今、何が起きた?確かに心の臓を捉えたと思った。この私に触れる事さえ出来ない筈なのに、殴りに来ただと…!)

拳が重く、防御を発動してなかったら首を持っていかれただろう。
それくらい凄まじい威力だったのだ。

「……」

ギョクレンは無言で素早く離れ、赤鬼との距離を取る。
そして高速で移動し、撹乱させるように動き回れば、あまりの速さに目で追う事が出来なかった。
赤鬼がギョクレンを見失った瞬間、今度は思い切り助走をつけて忍ばせていた短剣で首を斬りつける。
防御をしても尚、すぱっと髪の毛は切れ、辺り一面に広がるように落ちた。
それが好気とばかりに赤鬼は地面に落ちた髪の毛を操作し、まるで細く長い針のような形にする。
そして数百の針が意思を持つようにギョクレンに向かって刺さったのだった。

「っ…!?」

体を貫通する程の殺傷能力はないものの、確実にギョクレンの肉体に数百の針が刺さる。
まるでハリネズミのような姿となり、ギョクレンが思い切り後ずさった。

「まさかここまでお強いとは思いませんでしたよ。少しだけ貴方を侮っていました…」

赤鬼は自らの頬を撫でる。
口から血を流し、かなりの威力で殴られたから目眩を抑えるように脚を踏ん張った。

「でも油断し過ぎましたね。相手の能力を確認せずに突き進むのは些か無謀と言いますか…頭の悪い人間がする事だと思いますよ」

赤鬼は目を細め、ギョクレンを嘲笑うように見据えたのだった。


2025.07.30

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