tori


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※ヒロインサイド。読みたくない方はスルーして下さい。


✐スイレン・ウー…水国すいこく第一皇子。美少女ばりの美青年。ツンデレのオラオラ系。
岸部きしべさとり…白髪美形おじさん。スイレンの執事。


「……、……、……ま、………さま、……こさま、……神子様」

その声で姫乃は目を覚ます。
まず最初に視界に入ったのは白髪だが、相当美形な中高年だった。

「イケおじ」

謎の言葉を発する姫乃に若干引き気味な中高年。

「結婚して下さい」

姫乃のタイプだったらしい。

「え、あの…、神子様?」

戸惑う中高年を気にする様子もなく、姫乃は再び口を開く。

「好きです、一目惚れしました、結婚して下さい」
「ごめんなさい」

中高年のお断りの言葉に、姫乃は目を閉じる。

「そんな所も好きです」

もう意味がわからない。
男しかいない国にいるからなのか、女の扱いが全くわからなかったのである。

岸部きしべ、下がっていいよ」

男にしては高い声と共に、美少女かと疑う程の青年が姫乃を覗き込む。
未だ床に横になっている姫乃は、下から見える美しい顔に見惚れていた。

「ごめんなさい。ワシ、年上にしか興味ないから、あなたとは結婚出来ません」

いや、何が?
青年と中高年は同時に思った。

「俺だってあんたと結婚なんてしたくないし、告白すらした覚えないのに何で振られてんのさ。まぁ、良いけどさ…神子、ちょっと黙って聞いて。つか、もう本当余計な事をしゃべらないほうがいいよ、そして俺の岸部を口説かないでくれないか。」
「俺の!?え、俺のって何!?そう言う関係なの!?ちょ、待って、美味しい!!じゃなかった、狡い!!ワシだってイケおじといちゃいちゃしたい!!」

姫乃の暴走にスイレンの額に青筋が立った。

「…ちょっと本当黙って」
「ね?ワンチャンでいいから、遊びでもいいから、抱かせて!!」

イケおじ中高年の両手を掴み、とびきりの上目遣いで見つめる。
スイレン程とは言わないが、美人な部類に入る姫乃に、中高年は戸惑いを隠せない。
そして聞き間違いだろうか?
抱かせて、とはいかなる事だろう。
書物では女性は本来男性に抱かれるべきものであり、受け入れる側だと教わってきた。
それが逆になるとは摩訶不思議である。

「黙ってって言ってるでしょうが!!!」

スイレンがぶちギレ、姫乃の頭を思いっきり殴った。
中高年から手が離れ、床にダイブする姿は絵になっている。
綺麗な放物線を描き、ダウンした。

「……猟奇的…」

姫乃はそう一言告げ、再び暗転。
美少女のように綺麗な青年はオラオラでした。

「俺は水国の第一皇子のスイレン・ウー。そして、神子が結婚を迫った相手は執事の岸部きしべさとり。今から簡潔に言うよ。ここは男しか存在しない国で、神の加護により鬼から守られていたが、神が消えてしまった。邪気を封じ込める為に神子が封印しなければならない。そしてその神子は君だ。そして、この世界に女と言う性別はいない。男しか存在しないし、男が子供を産み、育てる。だから、神子諦めてよ」

そして前回の冒頭に戻る。

「え、ちょ、何!?リアルBL!?ちょー最高なんですけど!!!男だけしか存在しない国って、どゆこと!?女がいないとか、楽園なの!?え、ご褒美!?ワシにご褒美くれてるの!?もぉー、普通に恋愛対象男とか、天国でしかないじゃん!!しかも夫婦!?何それ、ちょー萌えるぅ!!!」

スイレンと覚を気にする事なく、制服のスカート姿で脚をバタつかせて乱舞する姫乃。
床に寝転んだままだから、スカートからスパッツが丸見えである。
そんな様子を気にした風でもなく、スイレンは汚い物を見たと顔を歪め、覚に関してはみえないよう隠そうとあわあわ苦戦していた。

「で?結局、二人はどんな関係?付き合ってるの?夫婦なの?そうじゃないなら、ワシに岸部さんちょうだい!イチモツないけど、テクニックだけはあるから!めちゃくちゃ気持ち良くしてあける。だからバッグバージンちょうだい!」
「あげないよ!!バカなの!!?恥を知ってよ!!岸部のバッグバージンももっての外だよ!!」

何やら今日会ったばかりの姫乃とスイレンだが、息ぴったりである。
そんな様子を見て、覚は感動していた。

「私の事はお忘れになって、スイレン様と末永く仲良くして下さい。ご友人が出来たと喜んでいましたら、まさかの恋人候補でしたか…。神子様と言う正妻もまた、よろしいかと思われますよ、スイレン様」

涙ながらに語る覚に対し、姫乃は照れながら、『まぁ、突っ込ませてくれるならこの際スイレンでもいいやー』、と喜び、スイレンに関しては、『どこをどう見たらそう見えるのさ…、俺は嫁になんてならないよ。旦那になる男なんだからね』と再び青筋を立てる始末。


何だかんだで白の神子様の身柄はご確保。
この世界を竜也以上にエンジョイしている模様である。


何で姫乃が言葉を理解したかと言えば、スイレンが神子だと理解し、口づけしたから。覚から懇願され、嫌々ながらちゅーする姿が想像出来て笑える(笑)物凄いパワーが流れて来て、本当にこいつ神子だったのか、綺麗な顔をしてるもんな、とか思ってたら、姫乃の性格あれだからスイレンは苦労すると思うよ。


2024.09.28

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