シード枠
ブロンズ、プラチナ、ゴールドのメンバー達の部屋割りが各々のスマホのQRコードを読み取り発表された。
3人一組で編成される。
学生は学生同士、社会人は社会人同士と言う組み合わせとなり、振り分けられた。
1、2と環と海向だが、3は泉水の為、泉水は学生寮ではなく、宿舎へと。
そして、1、2、3と同じ部屋になるかと思いきや、公平を保つ為にジャンル別の3人一組となり、誰と同居するかはランダムだ。
例えば役者グループとミュージシャングループの二手に別れ、役者グループは俳優、ミュージカル俳優、声優の三種がペアとなる。
ミュージシャングループだとアイドル、歌手、ダンス、バンドとなり、別ジャンル同士を組み合わせる事による、将来への可能なまで期待を込めて。
この編成は志望した物だけを極めるのではなく、自分の未来への投資の意味も含まれる。
選択肢が広ければかなりの高確率でデビューへの近道になる。
一途に極める者や、他の才能を開花させる者、逆に裏方へ周りseycoマネジメントへ進む者。
そして3年間通いながらも夢を諦め、退所して新たな進路へ進む者、そんな将来への分かれ道を決める事が目的だ。
環はQRコードで自分の部屋割りを見ようとしたが、一番最初に登録した社長からのラインに気づく。
夜な夜なストリートミュージシャンをしていた環。
そんな彼が何故このオーディションに参加出来たのかと言えば、seyco entertainmentの社長である百瀬がたまたまその場に居合わせ、その才能を見つけたからだ。
彼女の目にとまらなかったら、きっとオーディションに受ける資格はなかっただろう。
才ある者だけに贈られる特別なカードにより、エントリー資格があるのだ。
何のツテもない環からしたら、一生趣味として終わる筈だった人生。
それが百瀬に出会って変わった。
ごく稀にしかいないシードのような物で社長権限でこの場にいるのだ。
seycoグループが決死の覚悟で原石の卵を見つける中で、何気なく目にとまった一コマで環はスカウトされ、1次から3次を飛び級して、4次審査から参加資格を貰えた優れた人間にだけ渡されるシード枠を手にした。
虐めや嫉妬、今後の活動する上での被害や混乱などを考慮して、公にはしないのが社長のルール。
代々、百瀬を継ぐものだけが社長に就任され、その経営能力は幼少期から叩き込まれ、凄まじいものがあった。
超がつくエリートにしか社長として君臨出来ない為、この会社所属タレントへの期待値が凄い事は言うまでもない。
だからこそ、普通なら社長と直接ラインなど出来る筈がないのに連絡先を知っている経緯はそう言う事だった。
環がseyco entertainmentにとって最も期待される新人だと言う証明である。
(社長からライン?)
環がラインを開けば、すぐに社長室に来て欲しいとの事だった。
珍しい事ではなかった為、今までも社長室にと言うよりは、指定された個室料理屋に何度となく呼び出されたので、特に気にする事もなく向かう事にしたのだ。
「環っ…話がある!!」
泉水が急に声をかけて来たが、社長室へ行かなくてはならない事情を伝え、戻ってからで良いかお願いする。
そうしてる間に、海向からもラインで会いたいと連絡が来て、そちらも用事を済ませてからで良いか返信した。
この時、泉水と海向の2人に行き先を告げていた事が幸いするなど微塵たりとも思いもせず、環は社長室のドアをノックする。
2025.02.01
- 12 -
*前次#
ページ: