tori


躾※和空×色生


※脇カプ。和空×色生。誘い受けっぽいシーンあり。


外壁に縫い付けられ、何度も唇を貪られる。
開いた隙間から舌が侵入し、色生の背筋がぞくりと震えた。

「の、あ…、んんっ…」

口付けの合間に名前を呼ぶも、目の前の男は目をギラつかせ欲情しているのがわかる。
環にじゃない、自分に対して興奮しているのだ。
その事に先程までの嫉妬や怒りが少しずつ消失していき、変わりに胸がとくりと音を立てて喜び始める。
何て単純な人間なのだろうか。
たかがキスひとつで、こんなにも心弾ませ、満たされる。
決して許した訳ではないのに、自分が惚れた男に求められる喜びとは凄まじいものだった。
和空の余裕そうな顔が浮かび、唇が離れた瞬間に盗み見る。
すると想像していたものではなく、怒っているような真剣な表情で色生を見ていた。
日本人離れした顔立ちと綺麗な顔、はっきりした二重から覗く青い瞳はどこまても澄んでおり、その奥に存在する光りがとても深く強い。
奪い尽くすような強引なキスに翻弄され、膝に力が入らなくなった所で色生が和空の首に腕を回す。
それが嬉しいのか、先程の真剣な表情は成りを潜め、いつもする悪戯な笑みを浮かべ、満足そうに喉を鳴らした。

「聞いてや。色の大切な人やから、何をされたんか確認しとっただけや。度が過ぎたんは謝る…。けど、決して下心なんあらへん。俺が愛しとるんは色だけや…、他なん要らん…」

ちゅっと顔中に口付けを落とし、低く良い声で囁く。


恋人になってからと言うもの、片想い中にアプローチされた比でない程に未だに熱く口説いてくる。
物欲しそうな飢えた獣のような瞳をして、目が合えば何事もなかったようにふざけた笑みを浮かべ、蕩けんけんばかりの甘い微笑みを向けるのだ。
和空から視線を逸らせば、再び喰われそうな程の強い眼差しを感じ、上から下まで舐めるようにじっくり見てくるから質が悪い。
その視線の意味に気づいていながら、知らんぷりするしかなかった。
足りない、もっと欲しい、その体に触れたい、もっと深く繋がりたい。
そう聞こえてくるような気がしてならなかった。
人一倍独占欲が強く、嫉妬深い和空が浮気などする筈ない。
頭では理解していても実際、あんな姿を見せられて、冷静でなんていられなかった。
いつも自分に対してするような情熱的で焦がれる愛情とは違い、環に対しては親しみや弟に向ける家族愛。
自分以外に触れる和空が許せなかった。
こんなにも求められているのに、足りないと思うのは自分の方なのだ。
そう気づいて、思わず笑ってしまいそうになった。
あぁ、本当に嫌だ。
愛される事に慣れ、それが当たり前だと思う事にも。
和空が自分だけのものだと思う事にも。
その全てが色生の中で強く深く侵食していくのだった。


「わかってる…環に対して、そんな気持ちじゃないって事も…全部。お前は俺のものなんだろ?俺の事が好きで好きで…堪らないんだよな。次、浮気紛いな事をしたら、その時は覚悟しろよ?俺も同じ事を泉水にしてもらうからな」

その言葉にカチンと和空が固まる。
まるで石のようだなと色生は思う。

「………折川…と同じ事…?」

ぶつぶつと和空が己自身に確認するよう呟く。

「あぁ、同じ事だ。和空が環にしただろ?ここ、弄って…ここ、舐めてた…」

色生の指がゆっくりと自らの胸元へ這い、下半身へと下がって行く。
その妖艶な動きに、ごくりと和空の喉が鳴った。

「泉水にしてもらうから。同じように肌見せて、こんな顔して…」

作業着のチャックをゆっくり下げ、ちらっと乳首を見せ、そして少しだけ頭を傾け、悩まし気な顔で色っぽく囁く。
和空の顔が一気に赤くなり、そして何かを振り払うよう頭を左右に降った。

「アカン…そんなん見せたらっ…」

和空の顔が突如真顔になり、歯がぎりっと鳴る程に強く噛み締めたのだった。


2025.03.20

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