tori


作戦会議


A-4、海向のクラスにて、礼貴と言う強烈なストーカーを目の当たりにし、急遽作戦会議が行われていた。
環、海向、昂輝まではわかるが、何故かそこに一葉まで加わっているのが謎である。

「何でてめぇがいんだよ!?」

当然とばかりに昂輝がつっこんでくれて、環はほっと胸を撫で下ろす。
また、いつ海向の地雷を踏むかと冷や冷やものである。
海向は海向で、まぁ、こいつは敵でも味方でもないのかと思い、昂輝に任せる事にした。

「うーん…何でだろうねぇ〜。さっきまで女神の事で頭いっぱいだったんだけど、ストーカーくんの方が印象に残っちゃった〜」

にこにことおっとり微笑む様に戦意喪失である。

「女王様に迷惑かけねぇんなら、いいぜ…」

はぁっと昂輝が盛大な溜息をついた。
嘘か真がわからないが、うんうんと頷く一葉に若干胡散臭さを感じるものの、海向が何も発言しない事から善しと判断したのである。

「いやぁ〜、それにしてもあれは強烈だったねぇ〜。本当、どうにかしないと平凡くんの身の安全が保たれないからね〜」

一葉は一見、能天気で可愛い子の事しか考えてないように思えるが、先程から的を得た発言をしている事に海向だけは気づいていた。
下半身ゆるゆる男だと思っていたが、本質を見抜くセンスは持ち合わせているのかもしれない。

「環、勅使河原やったか?名前知っとる言う事は同じクラスなん?」

環の顔色が段々と曇り、答えを聞かずともわかる。

「マジかよ…」

昂輝がこめかみを抑え、頭を悩ませる。
正直、最初は一葉を警戒していたが、礼貴の方が圧倒的に厄介な相手だ。
環への依存度もだが、心酔具合が気持ち悪くて仕方ない。
見てわかる通り、底抜けにぶっ飛んでいるのだ。


「あのさ、最初から凄い見て来てたんだよね…。同じクラスに土屋って友達出来たんだけど、その人も気づくぐらいでさ。まさか、本当にそう言う意味で俺を見てるなんて…思わなかった…」

ズーンと落ち込む環の背中を海向が優しく撫でる。

「環の事は俺が守ったる。安心せぇ」

触れた暖かさとこれまで何度も助けてもらった経緯から、こくんと笑顔で頷く。

「海向…ありがとう」

花が咲かんばかりの笑顔に、海向の頬が赤く染まる。
それを昂輝が複雑そうな顔をし、視線を逸らす。
一葉は青春だねぇ〜、なんて言ってにこにこしていた。

「環、土屋って奴、紹介してくれへん?あと、他に友達になった奴おらんか?」
「うん、わかった。戻ったら声かけてみるね。…友達ではないんだけど、ちょっと変わった人なら話したかな?」

環が律を思い出し、自分よりも遥か上を行くスルースキルに苦笑いする。

「どんな奴や?」
「協力してくれるかはわからないけど、仲良くなりたいとは思ってるんだけど、そんな人でもいいかな?」
「ええで。言うてみぃや」
「俺の後ろの席の人なんだけど、浅間律って言って、凄く背が高くて何事にも動じない性格してるんだよね」

その名前を聞き、海向と昂輝が同時に互いの顔を見合った。

「そいつ、俺らの同室者だわ」

昂輝の言葉に、環の目がキラキラっと光り輝く。
こうやって自分以外の人間に環が興味を持つ姿を見て、面白くないと思う海向は、少しだけぶすっとむくれる。
それを一葉が見守るようにふふっと笑ったのだった。

「そうなんだね!!凄い偶然だ!!」

嬉しそうにはしゃぐ姿は可愛いものの、海向も昂輝も複雑である。
あの掴み所のないマイペース男が協力するとは到底思えないからだ。
どうやって協力させよう、そんな事を思う。

「まぁ、どちらにしろ、放課後そっち迎えに行くで。俺らの部屋で作戦会議や。土屋って奴と行動するんやで?くれぐれもひとりになったら、アカン」

こくこくと環は頷き、作戦会議は無事終了した。


2025.04.15

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