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「っ…はっ…可愛い!ひとつになろうっ!!」
礼貴はギラギラした肉食獣のような眼光をし、牙を剥き出しにしていた。
ご馳走を目の前にしたような雄の顔に、思わず環が恐怖する。
余裕のない欲情した表情に、涼介や和空とは全くの別物だと感じた。
本能が語る。
こいつは危険だと。
心から自分を欲し、喰らい尽そうとしているのがわかり、ガタガタと震える。
「ゃ…!…怖ぃ…!」
環が怯えるのも気にせず、礼貴の手が太腿をずっと触り続け、その上にある柔らかな双丘を捉えた。
「あっ…!」
大きく太い指先が余る程に小ぶりな臀部。
それを欲に塗れた手付きで激しく揉み始めた。
「やっ…ぁっ!なっ…、何っ…!?」
環は何故そんな所を、と意味がわからない。
だが時折指先が後孔に触れる度に、ぞくぞくとした何とも言えない気持ちが襲いかかる。
「はー、はー…!佐野、可愛い!」
擦り擦りとスラックス越しから、中心にある菊門に触れる。
ふにふにと入口を確かめるような動きに、ずくりと環の腹奥が疼いた。
「ひぃ、あぁ…!」
環が喉を仰け反り、甘い声で啼く。
その声を耳にし、表情を上から視姦するように眺める。
何と言う絶景だろうか。
礼貴の男根がぐんと天を仰いだ瞬間だった。
「気持ち良いのか!?佐野っ…ここが良いのか!?」
囁くと言うよりも怒鳴る程に力む礼貴の声に、ただ環は首を横に振るしか出来なかった。
むずむずとした感覚に、腹奥がずくずくと疼き、自分の体はどうしてしまったのだろうか。
誘うように腰を揺らし始める環に我慢が出来なくなった礼貴は、素早く下に降りるとスラックス越しに触り続けた後孔を目前にし、ごくんと大量の唾を飲み込んだ。
布越しにでも入口の形がはっきりと見え、礼貴は思わず目眩を起こす。
誘われるように鼻を押し付け、匂いを思いっきり嗅いだ。
「え…?ぁ…やめっ!!?」
環は感じた事のない感触に、自分の下半身を見る。
すると礼貴が肛門付近に勢いよく顔を押し付け、擦り擦りと鼻をこすりつけ、匂いを嗅いでいるではないか。
「っ!!!?」
もうこれには驚愕である。
何をしているのだ、この男は。
そんな所の匂いなど嗅いでも何も良い事はないだろう。
むしろ、汚いではないか。
そう思った瞬間だった。
「環っ!!」
海向がドアを勢い良く開ければ、礼貴によりベッドに押し倒されながら下半身の匂いを嗅がれ、戸惑う環の姿を目にする。
「っ!!?」
鈍器で殴られたかのような衝撃だった。
泣き腫らした目からは涙がぽろぽろと流れ、大男により自由を奪われた体。
「ええぇ!!!?ちょ、てっしー、何やってんのぉぉ!?どこ嗅いでんのぉぉぉ!!?」
この部屋の同室者こと、古郷新が顔を真っ赤にして叫んだ。
てっしーとは礼貴のあだ名である。
「てめぇっ!!何してんねん!!!」
海向が怒鳴り声を上げ、礼貴の襟足を掴んで後ろへとぶん投げる。
受け身を取り、床に着地して海向を睨みつけた。
「環っ…大丈夫か!?」
くったりとしてる体を抱き起こし、唇はてらてらと輝き、赤くぷっくりと腫れていた。
この事を意味するのはひとつ。
礼貴により無理矢理キスされたと言う事だ。
その証拠に、唾液によりベタベタになった口周りと顎先に垂れる含みきれなかった唾液。
海向は舌打ちをし、目を一瞬だけ転がっている礼貴へと向ける。
殺さんばかりの睨みをし、環へと視線を戻した頃には優しい瞳をしており、汚れてしまった唇を自らのワイシャツで拭うのだった。
「……っ」
環は何が起きたのか理解しておらず、ただ体がかくかくと震えている。
涙を指で拭い、勢いよく抱きかかえた。
「離せ!!触るな!!!」
牙を剥き出しにした獣のように怒り狂う礼貴。
新がかけより、礼貴を宥めようとするがすぐに振り飛びされてしまう。
「俺の佐野に触るな!!!」
礼貴が想像以上にブチ切れ、興奮しており、床に転がった新はドン引きである。
「てめぇ、ふざけんなや!!無理矢理するとか、ありえんやろ!!」
海向が青筋を立てて、激怒する。
こんなに無抵抗な人間に対し、獣のように襲いかかるなど動物以下である。
「ひいぃぃ!!?修羅場!?三角関係ぃぃ!!?」
ムンクの叫びのように両手を頬に添え、慌てふためく新。
「まだ初日なのに何があったのぉぉ!!?」
ただ同室者と言うだけで、メンタルダメージを与えられたのだった。
2025.04.23
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