変態紳士
生中継されていた今回のオーディション。
リアルタイムで唯一ここから配信される。
今をときめくseyco entertainmentは一番大きなプロダクションなのだ。
ここに所属するタレント達は皆売れる。
事務所の力もあるが専属契約している有料配信サービス、s-netだけが取材できるシステムだからだろう。
こちらはseycoの傘下に入っており、seycoグループ所属アーティストの配信はここでしかされていない。
デビューしてない練習生はもちろん、今や売れっ子で他のテレビなど出演しない大御所はこちらでならいくらでも見れるのだ。
その為ら有料だろうが推しを見れるならと、今や人気配信サービスとなっていた。
そんなs-netスタジオで怒声が響き渡る。
「何で誰もこの子にインタビューしてないの!?映像ひとつもないじゃない!!」
テレビ局の女性が大声をあげるのは当然である。
平凡な容姿だからと番組スタッフ達は見た目が良い人間や、話題のある人物にしかインタビューしてなかったのだ。
「すみません、課長…!この子、全くノーマークでして…っ」
部下である男が慌てて答える。
「ノーマークって何!?こんな逸材…って、あ…、見た目平凡ー!!?」
改めて資料を見て、女課長は驚く。
どこをどう見ても地味で平凡な男の子だ。
見目麗しい少年達の世界で、そりゃこれは霞むわな、と。
こんな普通の子がまさかあんな歌声だなんて、誰が想像出来ただろうか。
出来る筈もない。
それくらい平凡地味な存在なのだ。
「早く今から取材しに行ってきて!!現場に伝えて!!」
「はいっ!!!」
男は慌てて現場スタッフに電話をかける。
そんなバタバタした中でひと際、優雅にコーヒーを飲んでいる青年がひとり。
すらっと手足が長く、長身の細身体型だが、捲られた腕のワイシャツから見える腕は筋肉質である。
茶色に染められた髪を外に跳ねさせ、シルバーフレームの眼鏡をつけた清潔感ある外見。
色白の肌ときりっとした目元、口角は上がり、物腰の柔らかい。
「いやぁ…この子、凄くセクシーだったね。15歳かぁ…、うーん…さすがに手を出したら、犯罪かな?…あ、でも合意なら良いよね。最後までしなければ平気かもしれないよね。うん、多分大丈夫。あ…、でもいじめて、啼かせたいなぁ…色っぽいんだろうね。うん、僕、気に入っちゃった。名前はなんだっけ?」
女課長に声をかければ、佐野環です、と返答あり。
「うーん、名前の響きも良いよね。環、環くん、環ちゃん?全部、しっくり来ちゃうね」
ふふっと優雅に微笑むのはs-net社長兼番組プロデューサーの甲斐涼介。
スーツを着て、先程からずっと環の歌うシーンをずっと聴いている。
「連絡取れたの!?」
女課長の声に、涼介は眉を下げて微笑む。
「天海、落ち着こうよ。僕、この子と直接話したいな。連絡とってくれる?取材はしなくていいよ。僕が直接会うから大丈夫。社長に言ってよ、これから甲斐が向かいますって。そうしたら今回の件、水に流してあげてもいいよ。もちろん、出来るよね?今からこの会場行くから、それまでにアポ取っておいてね」
紳士のように優しく微笑んでいるが、環にアポとれなければ全員クビだと伝えてるも同然だった。
周りの部下達が凍る中、涼介は颯爽として部屋を後にしたのである。
「……、あのホモ社長ぉぉ!!この子も食う気だな!!一体、どれだけの少年達を毒牙にかければ気が済むんだ!!おい、野郎共!!何がなんでもアポ取れよ!!うちらの未来がかかってる!!何であんな奴がプロデューサーなんだよ!早く捕まれ!!」
変態紳士を社長に持つと物凄く大変。
2025.01.31
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