tori


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※誘い受けあり。大人×高校生のキスシーンあり。苦手な方はスルーして下さい。


「みにぃっ…みにぃぃぃ…」

まるで子供のように泣きじゃくる新をあやすように抱きしめ、頭を撫でる。

「あー、…はいはい。みにぃですよー」

耳元で聞こえる声にぞくりと腰が震えた。
いつも聞いている高校生の声とは違い、大人の色気が混じり、少しだけ緩い口調の中で低く掠れている。
何と良い声なのだろうか。
久々に聞く声の衝撃に、新の顔が真っ赤に染まっていく。

「うぅぅ…本物ぉぉ…!何、このご褒美ぃぃ…!!耳やられるぅぅ…っ」

鼻水を流し、とても綺麗とは言えないぐちゃぐちゃの顔で泣きじゃくる。
耳やられるって何だよと己梛は笑う。
自覚はある。
この声に男女共に勝手に落ちてきたし、落としてもきた。
だが、新にまで有効とは思わなかったのである。

「そこまで泣くくらいなら、何で連絡寄越さねぇんだよ。ずっと待ってたんですけどー?」

その言葉が嬉しくて、そして申し訳なくて、また新は泣き出した。

「変わらないねぇ…、本当、お前さんは…」

己梛のどこか嬉しそうな声に、新はほっと一安心するのだった。
呆れられた訳じゃない。
仕方ないといつものように許してくれるのだ。

「それで?」
「みにぃを追いかけてきちゃったぁ…」

物凄く照れながら、目元を赤らめ、新は己梛を上目遣いで見つめた。
ずっと会いたかった人が目の前にいる。
それがどれだけ心を弾ませ、どれだけ救いだろうか。

「ははーん、そんなに俺に会いたかったのかー?俺、愛され過ぎじゃね?」

からかうつもりで己梛が悪戯な笑みを浮かべれば、新は瞳を潤ませながら頷く。

「大好きだよぉ!本当にみにぃが大好きぃぃ!みにぃの隣にいられるように早く大人になりたかったから…」

そう言って、新が己梛に抱きつく。
まるで子供が親を求めるかのようなそれに、己梛は目を細めて眩しそうに微笑んだ。

「迎えに行くって行っただろ?待てなかったんですか?」
「待てなかったぁぁ…!ずっと我慢してたけどもう限界だったぁぁ!だって、みにぃ…高校生になったら、手を出してくれるって言うからぁぁ…」

ぶっと吹き出し、己梛が目を大きく見開く。
この子は何を言ってるんだ。
そんな驚き方だった。

「はあぁっ!?え!?おまっ…何言って…!!」

いつも余裕しゃくしゃくな己梛からは想像出来ない程の狼狽えよう。
周りに人がいないか確認してる姿が恐ろしい程に挙動不審である。
顔が真っ赤だ。
それもそうだろう。
だって、いち社会人である自分が未成年のしかも同性に手を出す宣言をしたのだから。
いや、それらしい言葉を吐いた自覚はある。
しかも同性相手にも手を出してきたし、出されてきた。
どちらかと言えば向こうから寄って来て、勝手に盛り上がってた事が多いのだが。
でも新の場合はそう言う意味ではない。
本気で手を出そうとした。
だが、それはあくまで高校を卒業してからだ。
高校生に手を出すのはルール違反だし、まだ子供だから、きっと自分の愛は重いだろう。
ならば甘やかして他を見られなくするくらい、こちらに引き込めばいい。
それが出来るのが、御門己梛だ。
順調だと思っていた光源氏計画。
まさかここで誤算が生じるなど、夢にも思わなかっただろう。
ましてやあの夫婦が許すとも思えなかった。
逆に新を遠くにいかせる意味ではあの2人にとっては最大のチャンスなのか。
そんな事を思っていれば、新から発せられる熱い視線で我に返る。
酷く熱のこもった、それも昔よりも色気付いて、艶っぽいそれ。
己梛はごくりと唾を飲み込んだ。
まるで飢えた獣だなと、自分を客観視する。
高校生の誘惑にぐらつくなど、大人にあって良い筈がない。
なのに、その視線から目が離せなかった。

「俺が子供だから受け取れないって行ったじゃん…。家族になってくれるって言ったぁぁ…。いっぱいちゅーもしてくれるって言ったじゃんかよぉぉ…」

何だ、そう言う意味か、とほっとすると共に残念にも思う。
いや、確かに言ったし、本気で思った。
あまりにも新が可愛らしくて、思わず手を出してしまった記憶はある。
どこまでと言われると犯罪にならない程度には、なのだが。

「ちゅーして欲しいのか?」
「して欲しいぃぃ…!みにぃとたくさんちゅーしたいよぉぉ!!」

そんな潤んだ瞳で見つめられ、たくさんキスして欲しいなんてねだられて、正気でなんていられるだろうか。
いや、いなきゃいけないだろ。
まだ新は15歳の未成年だ。
それに比べて自分は25歳の大人だ。
敢えておじさんとは言わない。
まだまだ若いからな。
もしかしたら昔に言った好きは本物だったのかと期待してしまった。
だが、きっと違う。
新の好きは親から貰えなかった愛情を己梛で満たしてる好きなのだ。

「まーね、言いましたけど」
「だからね、もう良いよねぇ。俺からの愛、受け取ってくれるよねぇ」

そう言って新が己梛の頬にちゅっとキスをした。
それに目を大きく見開き、驚く己梛。

「……え?」
「みにぃ、好き。ずっと大好きだよぉ。だから恋人になって下さいぃぃ!」

頬を真っ赤にして、嬉しそうに新は笑った。

「もう8歳の頃の子供じゃないよ、我慢したくない。俺に…みにぃを頂戴?」

いつの間にこんな誘惑を覚えたのだろうか。
まだ幼かった新が大人の男に見える。
あぁ、自分の勘違いじゃなかった。
本当に、やっとの思いで手に入ったのだ。


2026.06.04

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