tori


人は見た目ではわからない


「と言う夢を真琴様が見られたのですが、本郷結愛様…どうか、我が主の為に再現させて頂けませんか?」

親衛隊隊長の玄心が、息をつく暇も与えず、冒頭から一人ずっと語っていたのだ。
それを止めようとする者は誰もおらず、ただ茫然と聞いていた。
結愛を含む、一年A組の生徒全員が。

「は?……え、ちょっと待て!今更だけど、何ベラベラと公衆の面前でスゲェ事を言ってくれてんの!?」
「はい、それは結愛様がここで話して欲しいとおっしゃられたもので」
「あぁ、そうだよな!制裁とか言うやつだと思ったから、二人きりになるのはヤバイと思ったんだよ!」
「そのような恐れ多い事を私が結愛様になさる筈ありません。…真琴様が悲しまれますし、個人的にとても素敵な方だと存じてます」

女子が聞いたら、悲鳴を上げるんじゃないかと言う台詞と、蕩けんばかりの笑顔を見せる玄心に、結愛は遠い目で見た。

「うん、あ〜…まぁ、俺が勝手に勘違いしたのが悪いよ。でもさ、俺が女役、って言うのか…?それをした夢を赤裸々に語られたら、どれだけ恥ずかしいかわかるか?俺、男なんだけど?」

結愛は顔を真っ赤にして、頭をガシガシと掻いた。

「すみません、おっしゃってる意味が理解出来かねます。結愛様はとても愛らしいので、受以外の何者でもないと思いますが。……、それとも女役が気に入らないと言う事でしょうか?真琴様に、その可愛らしい性器を挿入したいと」
「だぁぁぁぁ!もうそれ以上、言わないでくれっ!!あんた、自分が何言ってるかわかってんのか!?わぁぁぁ、何だよ、これ、羞恥プレイなのかよっ」
「羞恥プレイ、ですか?あなたの口から聞けるとは思いませんでした。とても淫靡に聞こえますし、私の胸が高鳴りますね」

涼しい顔をして、玄心はすらすらと返答する。

「…あぁ、もういい。あ、うん…、凄く…疲れた。俺が全部悪かったな。何で2日目でこんな醜態を曝されにゃ、いけねぇんだよ…」
「おめでとうございます」
「チゲェから、喜んでねぇからな。絶対わざとだよな…?わざと俺をからかって楽しんでるだろ…」

結愛は脱力したように呟く。

「そんな、滅相もございません。私が結愛様をからかうなど…、しかもそれを楽しむ趣向もございません。誤解です。僭越ながら言わせて頂きますと、私の性癖はこれでもかと言うくらいに甘えさせて、一人では立つこともままならない程に愛する事なのです。もちろん物理的な意味も含まれておりますよ」

再び、結愛の怒りが爆発。

「聞いてねぇぇぇ!!全くもって知りたくない情報だよ!!…え?何?俺が悪いの?これ、何?…何でこんな事になったんだよ…、誰か教えてくれよ…」

結愛がその場に崩れ落ちる。
そして勘弁してくれと、目に涙を浮かべた。
それをとても心配そうに寄り添い、体調悪いのかと本気で心配する玄心の姿。
端から見れば、完全にコントだ。
面白いくらいに二人の息が合っているではないか。
その後、この二人のやり取りが名物となったのは言うまでもない。


幼馴染みの将来が心配です。そして何故か、真琴の親衛隊隊長に好かれました。


2024.08.20

- 22 -

*前次#


ページ:


今日:55 昨日:32 合計:26847