似た者同士
「はぁ…、結愛、凄く可愛かったな」
真琴は今朝見た夢に、うっとりしていた。
起きて直ぐに、自身が大変な事になっていたが、最後までしたかったな、なんて呟いている。
本当に、後処理が大変だったと。
朝から、何度も脳内で結愛を犯した、とそれは大層幸せそうに語っていたのだ。
「えぇ、本当に素敵なご経験でしたね」
食堂のランチを食べながら、玄心は微笑む。
「うん、本当に可愛くてさ、…思い出しただけでまた反応しそう。何回も一人でしちゃった」
再び、うっとりする真琴を優しい瞳で見つめる。
そして、聞き耳たててる親衛隊や一般生徒が思った。
それ、言っちゃダメなやつと。
「共感致します。私も授業前、結愛様にお会いしましたが、あれ程までに愛らしい方だとは思いませんでした。真琴様から夢の話を聞いてから、結愛様を前にした瞬間、フル勃起と言うのを人生初めて経験致しまして…お恥ずかしい限りです。表情も声も、何もかもが可愛らしく、その場で粗相しなかった点は素晴らしいかと。教室へ戻る途中、我慢出来ずにそのままトイレで結愛様を想って何度も頂かせてもらいましたし、性欲と言うものはとても恐ろしいですね。歯止めと言うものが効かなくなりそうでしたね…」
周りからは、持っていた箸を落とす者、口をあんぐり開ける者、食べてる物を噴き出す者までいた。
顔を真っ赤に染め想像する者、自分が相手だったらと願う者、うっとりした顔で玄心を見つめるものまでいる始末。
「本当に僕と好みのタイプ一緒だよね。でも結愛をオカズにしたのは許せないかな」
「えぇ、本当に昔から真琴様とは気が合いますね。どうしても我慢出来ず、申し訳ありません」
そして再び周りは思った。
何を話しているんだ、公衆の面前で。
しかも美形な二人には全くそぐわない内容に、心の中で誰もが思った。
今すぐこの会話をやめさせて、と。
お互いに微笑んでいるが、目の奥が全く笑っていない。
凄く怖くて、周囲の生徒達が震え上がった。
そう、この二人は何を隠そう。
主従関係にあるにも関わらず、互いに一切の恋愛感情がないのだ。
それ所か、好みが似ており、まさか好きなタイプまで一緒であるとは驚きである。
それを全く悟らせないように、本音を隠して話すのはお手のもの。
玄心は確かに、真琴へ忠誠を誓っているが、好みの話は別である。
例え、主が相手だろうが怯む様子など全くないのだ。
「結愛に手を出したら、例え君でも許さないよ」
真琴は無表情になり、玄心を睨み付けた。
「そうですか…。申し訳ありませんが結愛様の可愛らしさの前では、私の理性など簡単に崩れてしまうでしょう。哀れな男なのですよ」
涼しい顔をして、真琴の脅しなど全く効果なしである。
「本当に、君はくえない男だね」
舌打ちをし、鋭い目線を送った。
わざとらしく、玄心は小首を傾げる。
「はぁ…、もう嫌だ。こんな、あざといのライバルとかムカつく」
真琴はあり得ないと言わんばかりに呆れ顔。
「大変、申し訳ありません」
全く思ってもない笑顔を玄心は向けた。
こんな二人の会話さえ耳に入らなければ、端から見るとお似合いのカップルに見える。
それもその筈であった。
真琴と玄心は付き合っているのでは、と噂される程に一緒におり、真琴の言う事なら何でも聞くし、姫を守る騎士様様なのだから。
身長差も憧れる対象であり、真琴の親衛隊の中では応援しているものまでいる始末なのだ。
だが、それも今日で全てが誤解だと認識せざる得ないだろう。
二人は恋人などではなく、むしろ一人の男を巡ってのライバルなのだと。
親衛隊の中でも、二人を応援していた者達は呆気にとられただろう。
突然、玄心のスマホが鳴った。
「はい。………はい、そうですか。今から、そちらへ伺います」
電話を切って、神妙な面持ちで真琴へと視線を向ける。
それに対して、疑問符を並べ、首を傾げた。
「真琴様、結愛様が襲われたそうです」
「はっ!?」
真琴は顔を真っ青にして、勢いよく椅子から立ち上がる。
「どう言う事!?結愛はどこ?無事なの!?」
久々に見る、真琴の狼狽えように周囲がざわめく。
そんなの気にしてられない程に、今の彼には結愛の事しか頭になかぅたのだ。
「風紀室にいるそうです」
その言葉を聞き、慌てて食堂を飛び出す。
その後を玄心が追いかけて行った。
そんな二人が全速力で走る姿を物珍しそうに周りは見ていたのだ。
(俺の結愛に何かした奴は殺す)
2024.08.22
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