全ては策士の手のひら
永久とほとりが別室から、パソコンで監視カメラの映像を見ていた。
アキラが少年の強姦未遂の加害者である大柄の男の後孔に、男の腕程はあるであろう極太バイブを無理矢理突っ込み、気絶させている様子を。
「…えげつねぇ…」
ほとりがドン引きした様子で、監視カメラの映像から目を逸らす。
「まぁ、仕方ないですよ。なかなか口を割らないんですから、やはり的井くんを風紀に招いて良かったですねぇ」
永久はニコニコと微笑みながら、おぞましい映像をずっと見ていた。
それをほとりは眉を寄せて、舌打ちする。
「…あいつを入れたのは、拷問要員としてっすか…?」
ほとりの問いかけに、永久はゆっくりと頷く。
「それもありますが、今のうちに飼い慣らしておけば、来年君が委員長になった時に何かと役立つんじゃないかと思いまして。御子神くんを物凄く意識してましたから、嫌いな人間に対して人は無関心になりますが、的井くんの場合は興味あるとばかりに絡んで来ますから、とても好かれているんですよ」
永久の言葉に、ほとりは口をあんぐりと開けて、後ずさる。
いや、それは絶対にない、と心の中で思うのだった。
何かと絡んで来るのは虫の居所が悪いからで、永久の近くにいる自分が許せないだけである。
むしろ好かれてるのは永久の方であった。
「……これ、肛門使い物にならなくなるんじゃないっすか…?」
ある程度慣らしたと言えど、処女穴にいきなりのビッグサイズを挿入したのだ、さすがに加害者だろうが男の心配をしたのだった。
「おや、そうですか?僕には喜んでいるように見えますが」
永久が監視カメラの映像をズームすると、男が気持ち良さそうにヨダレを垂らしながら喘いでいる表情が伺える。
それをアキラが楽しそうにバイブを出し入れしていたのだ。
「………そうみたいっす……」
ズームしてまで見たくなかった光景に、ほとりは頭を抱える。
「さすが的井くんですね。
初めての相手に快楽を植え付けるなんて、これじゃ被害者が名乗り出ない筈ですね」
永久は感心したように映像に釘付けだ。
SMの定義にも当てはまるのだが、相手に怪我をさせないようにするのがSの信念であり、アキラもそうなのだろう。
相手を壊すまで快楽に陥れるが、それは体の機能の事ではない。
一生使い物にならないようにする、などではなく、一生快楽を追い求める体にする、と言う意味なのだ。
身体的には何の支障もないが、一度アキラからの快楽地獄を味わうと、もう男としての機能は奪われ、完全に雌化して、後ろでしか満足出来ない体になると言う。
「実に恐ろしいですね」
永久はアキラの快楽責めを改めて目の当たりにし、小さな声で呟いたのだった。
「……」
ほとりはアキラよりも永久の方が恐ろしいと思った事は、誰にも内緒だ。
こうなる事を見越してアキラがほとりに絡んでくるのも様子見し、永久自身を抱きたいとまで思うように仕向け、罠を張る。
そして結愛のスマホをアキラが持って行った時に接触したのも、全部彼に永久の力を見せびらかし、服従させる為だったのだろう。
そして、いつもなら何の見返りもない行動はしないポリシーを持っており、善意から永久自らの足で結愛のスマホを取り返したように見えた。
だが、それは部屋までスマホを取りに来るよう促し、結愛が風紀に入る事を断れない環境にして誘導する為のシナリオ。
編入試験のブラインドタッチ能力を聞いた瞬間から、どうやって恩を与えて多少強引と言われようが、自らの意思で選んだようにさせるかを虎視眈々と狙っていたのだ。
それこそが、永久の真骨頂。
策士と恐れられる理由なのだった。
「…全部、手のひらで転がされてたって訳か…」
ほとりが永久に聞こえないように言葉にする。
だとしたら、この男は紛れもなく天才であり、全ての事を操れるカリスマ性を持っているのだろう。
ほとりはぞっと背筋を震わせる。
きっと自分も外堀からジワジワと埋められ、今ここに居るんだと思うと、本当に大したものだと逆に感心してしまう。
中等部時代に逃げ回れたと思っていたが、それすらも想定内で、ただ泳がせていただけではないだろうか。
(…委員長に操れないものなんて何一つないんだろうな…。…本当に手の内見せねぇ人だ…。)
2024.09.01
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