仲良しトリオ
※未成年がアルコール扱ってる店に出入りする描写あり。
真琴と玄心は、とあるバーに来ていた。
その店はアンティークをベースに作られた、とても渋い造りとなっている。
そして淡い色の照明が店内を灯していた。
そのカウンター席に、真琴と玄心は腰掛けている。
「よう、学校はどうだ?」
そう声をかけるのは、この店の店長である阿曽沼俊介。
祖父から受け継いだ骨董品屋を改造して、バーにしたのだ。
「うん、とっても楽しいよ。前から言ってた、僕の大好きな結愛がいるからね。クラスが違うから、なかなか会えないんだけど」
真琴はそれは大層嬉しそうに話した。
こんなにニコニコと含みもない純粋な笑顔は本当に久しぶりな為、俊介も良かったなと笑った。
「で、玄心はどうなんだ?相変わらず、こいつのお守りしてんのか?」
こいつとは、もちろん真琴の事である。
「えぇ、本当に真琴様は私がいないと紙も持てませんからね」
誰もが見とれる笑みを浮かべ、頬杖をつく。
その姿が絵になるものだから、周りの客からはずっと熱い視線を送られていた。
「はぁ?何言ってんの?僕が玄心のお世話をしてあげてるんてしょ?僕がいないと何も出来ないのはそっちじゃん」
真琴は呆れたように玄心を睨み付ける。
それを余裕そうに受け流した。
「ははっ、お前ら相変わらずだな」
俊介が面白そうに笑った。
「恭介に会いに来たんだろ?あと少ししたら、戻って来ると思うぜ」
そう言って、他の客から注文を受け、カクテルを作り始めた。
真琴と玄心は未成年の為、烏龍茶だ。
それを飲んでいると、カランとドアの鈴が鳴る。
そして、お目当ての人物が姿を現したのだった。
「お〜、玄心、来てたのか」
明るい笑顔で、恭介は玄心の横の席に座った。
日本人にしては珍しい金髪、脱色などしてない天然ものだ。
センター分けをした前髪からチラッと覗く切れ長の目、その瞳は蒼くとても美しい。
細身だが程よく筋肉がつき、これが世に言う細マッチョなんじゃないだろうか。
男女共に目を惹く、美しさを醸し出していた。
「お久しぶりですね、恭介」
にこやかに二人は久々の再会を楽しむ。
学園で暮らしてる玄心達は学外へ出るのは手続きなど必要な為、なかなかこうして出歩く事が難しい。
大抵のものは学園の敷地内に用意されており、それで遣り繰り出来るのだ。
だが外部の人間と会うには外出届や外泊届を提出しなくてはならないから、多少面倒でもこうして会いに来てしまう。
学園は関係者以外、立ち入り禁止なのだ。
玄心と恭介は親同士が知り合いで、そこからよく会うようになった。
そして丁度二人の年齢も一緒な事から、昔からつるんでいる。
そして真琴も玄心が親衛隊隊長をするようになり、恭介と三人で会う事が増えていった。
要するに三人は気心知れた友人なのだ。
「それにしてもビビったぜ、まさかあの青龍がお前らの学園にいるなんてさ」
恭介はケラケラと楽しそうに笑う。
「そうそう、僕らもさすがに盲点だったんだよね」
真琴がうんうんと頷きながら、答えた。
「まだいると言う情報だけなんですがね。鼠さんがやっと口を開いてくれたんですよ」
玄心は大変でした、と口にする。
「鼠は玄心にお熱だもんな。で?どんな事をしてやったんだよ」
恭介はニヤニヤと悪戯な笑みを浮かべた。
もうそれは面白そうに。
「何もしてませんよ?ただ、彼がオナニーしてるのを見ていただけです」
ぶはっと恭介が笑い、真琴はうわぁとドン引きした。
「あはは!マジかよ、めっちゃシュール」
恭介はカウンターテーブルをバンバンと叩き、腹を抱えて大笑いする。
それに気づいた兄の俊介に怒られたのだが。
「へぇ、で?鼠はそれ以上は話さないってか?」
恭介がニヤニヤした顔で、再び玄心に視線を向ける。
「話さないと言うよりは、わからないみたいですよ?あの青龍ですから、そう簡単には尻尾は出しませんよ」
玄心は小さな溜め息を吐く。
「まぁ、そうだよな。だとしても凄い情報だわ。これで俺もそっちに転校できるし、一石二鳥じゃね?」
恭介がニカっと笑って、骨が鳴るぜと呟いた。
「暴れても良いけど、僕の結愛にだけは手を出さないでね!」
真琴が恭介を睨み付けながら言う。
「結愛?あ〜、お前の大好きな幼馴染みかぁ。心配すんなよ、俺は強い奴しか興味ねぇからよ」
真琴は呆れながら、そうだった、と言葉にする。
「結愛様は本当に可愛らしいので、恭介の好みではありませんが、それでも万が一って事もありますからね。ひとつだけ忠告しておきます。あなたが普段相手しているような、簡単に手を出して良い方ではありませんよ」
玄心が念を押すように伝えると、恭介が惚れてんのか、と冷やかすように笑った。
仲良しトリオ。
2024.09.04
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