四神集結
深夜の溜まり場では、四神と呼ばれる最も強く、気高き存在としてこの街で有名な四人が集結していた。
街の強者どもが彼らに挑んで、何度完敗した事か。
顔を隠すように不気味なマスクを被り、その正体を見たものは誰もいない。
いつもそれで隠しているから、四神と呼ばれるメンバーは何十年も前から存在している。
もしその伝説の彼らが現役だとしたら、結構な年齢を重ねていた。
動きも強さも衰えない事から、代々受け継がれているのだろうと密かに噂されていたのだ。
だが、誰もその真実を知らないので、都市伝説とまでなっていたのである。
溜まり場の奥には、四神のメンバー四人しか入れない専用部屋がある。
指紋認証による入室システムだ。
四神に少しでも近づきたい、四神の仲間になりたい、そんな連中はいつしか勢力をあげ、今や何百人もいた。
その中でも特に、四神の座を虎視眈々と狙っている者、崇拝する者、正体を突き止めようとする者、彼らを守ろうとする者と様々な思惑を持っている者達もいるのである。
四神は絶対に痕跡を残さない、もしバレてしまったなら長年続いた伝統が崩れてしまうから。
中には正体を知りながら、まるで知らないとばかりに生活している者もいるが、それはごく稀な存在だ。
その一部が情報屋だと言う。
奥の専用部屋にて、四神メンバーが集まっていた。
そこには監視カメラも盗聴器も設置出来ないように、常にそれらをチェックする機械が置かれている。
入室の際には、念には念をおいて確認していたのだった。
「やっと集まれましたね」
そう玄武のマスクを着けた人物が声を出し、四人全員が頷く。
「と言っても、いつも学園で顔を合わせてますが」
玄武のマスクを外した人物こそリーダーであり、四神の全てを握っているのだ。
その人物こそ、風紀委員長の永久だった。
「まぁ、そうだな」
その言葉に答えたのは青龍のマスクを外した、生徒会長の咲雨である。
「何や、相変わらずの代わり映えないメンバーやな」
足を組んで朱雀のマスクを外したのが、生徒会会計の飛鳥だ。
「……」
無言を貫き、白虎のマスクを外したのが風紀副委員長のほとりだった。
「今日集まってもらったのは、ハイエナから貴重な情報を頂きました」
永久の言葉に、三人の空気がピリッとしたものへ変わる。
「学園で会えばすむ問題ですが、それをしていまうと四神がここの生徒である事がバレてしまいますから、お手数ですがこれからも今まで通り定期的に通ってもらいます」
全員が外泊届けを出し、この場に集まっていた。
そのどれもが理由をちゃんとつけており、完璧なアリバイを作っている徹底ぶりだ。
永久は風紀委員長として、外部をパトロールを口実に。
咲雨は学園のスポンサーや寄付をしてくれる方々へ、理事長と一緒に会食。
飛鳥は学外で一夜の恋を探しに出ていると周囲が勝手に思い、下半身ユルユルと親衛隊からも噂が耐えない事を理由に。
ほとりは母子家庭の為、学費を稼がなければならいので、理事長公認で深夜のバーでアルバイトをして生計を立てているが本日は四神メンバーの集まりの為に抜け出した。
この事から、学園の人間も、外部の人間も皆、彼らが四神だとは夢にも思わなかったのだ。
まさか四神全員が同じ学園にいるだなんて、誰が想像出来るだろうか。
それに年齢も性別も非公開なのだから、学生だとも検討すらつかないだろう。
「チャイルドプレイのメンバーでしょうかね?やたらと青龍の事を嗅ぎ回っているようです。鼠がえらく、彼らの一人に熱をあげているとハイエナから情報をもらいましてね。皆さん、くれぐれも気をつけて下さいね…僕らの学園にチャイルドプレイがいるようですよ?」
永久の言葉に、咲雨の顔が険しくなる。
そして飛鳥とほとりが眉間に皺を寄せた。
「まぁ、まだ青龍がいると言う情報しか鼠が掴めてないので、今後もそれ以上は調べられないでしょう。ハイエナがそれをさせませんし、これ以上首を突っ込むようなら、その前に僕が鼠を始末しますから」
永久はニコリと微笑み、顔と言葉の内容にそぐわない台詞を言う。
三人がそれぞれ思うのは、この男だけは敵に回したくない、何より侮れない存在だ、と。
「悪い、多分あの時だろう」
咲雨が何かを思い出したかのように声に出す。
「最近勢力をあげてる族グループがアジトを嗅ぎ回って、あいつらを片っ端から叩き上げてるらしいんだ。その現場にたまたま居合わせてな。ちょっと遊んでみたんだが、その族達とはまた毛並みが違うのが一人紛れててみたいでさ。結構強かったから、本気を出した」
咲雨の言葉に、永久は微笑みを強め、飛鳥は口笛を吹いて珍しい事もあるもんやね、と笑った。
ほとりは特に興味がないのか、表情すら変わらない。
そして咲雨の言うあいつらとは、外にいる四神を崇拝する者達を指していた。
2024.10.17
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