black emperor
遡る事、数時間前。
この学園の生徒ではない男が、裏門の前に立っていた。
「ここにガキどもがいるんだろ?」
黒髪に白と金のメッシュを入れた、大人の色気を放つ体格の良い男前イケメンがニヤリと悪戯な笑みを浮かべている。
指にはオニキスのシルバーリングを嵌め、首をコキコキと鳴らしていた。
black emperor総長、皇崎帝は外部の街に通う生徒である。
「イエス、大正解だぞ、っと。ここにチャイルドプレイがいると、情報を仕入れちゃったんだぞ、っと。僕ってチュッパさえあれば、本当に天才だな、っと」
ド派手なピンク色の髪に、目にはサングラスをかけたいかにもな風貌。
実に怪しい。
その口にはチュッパチャップスをくわえ、カラコロ転がしながら細身の男がカバンからノートパソコンを出しながら答えた。
帝の右腕で知られる、我妻上総が学園の電気系統の蓋を開けると配線へとコードを延ばす。
「手下を可愛がってくれたお礼を存分にしなきゃなぁ。皇帝の名が廃るってもんだ」
予め持って来ていた制服に着替え、唇を肉厚の舌でペロリと舐めた。
「ミカくん、くれぐれも四神に出くわすんじゃねぇよ、っと。遊んで来たら…そん時はわかってんだろうな、っと」
上総が満面の笑顔で首元に手を持って行き、首切りをイメージさせるように親指を立てながら空気を切る。
そしてそのまま挑発するように親指を下に向けて、舌を出した。
舌の先端にはピアスが嵌め込まれ、耳にも大量のそれが何個もついていた。
「僕がボコボコにしてあげるからな、覚悟しとけよ、っと」
その言葉を聞き、帝は不敵な笑みを浮かべた。
「相変わらず、俺の嫁さんは怖いこった。まぁ、強気なのも悪くねぇけどな」
偉く気に入った様子で、帝は笑った。
「ミカくんの嫁さんになった覚えないからな、っと。マジその減らず口、どうにかしろよ、っと。僕みたいに、ピンク色に染めて、ピアスだらけにしてあげようか、っと」
中指を立てて、死ねと口ずさむ。
それに帝は可笑しそうに、そいつはヤベェな、と爆笑したのだった。
帝が嫁さんと言うのは、上総の名字の我妻に妻と漢字が入っているから、この事を偉く気に入ったようで、以来ずっと嫁さんと読んでいたのである。
上総からしたら、とんだ迷惑でしかないがいくら注意しても直らない。
そして上総の口癖は、必ず語尾に、っと、をつける。
昔流行ったRPGのゲームのキャラクターを真似てたら、口癖になったらしい。
「はい、完了だぞ、っと」
ピーっと機械音がなり、裏門のセキュリティが解除された。
「サンキュ、嫁さん」
そう言って、颯爽と学園へと忍び込んだのだった。
「だから、君の嫁さんじゃねぇんだっての、っと」
一人でべーっと舌を出して、今は見えない人物を思い浮かべた。
「あ、ミカくんスマホ忘れてるぞ、っと…」
脱いだ制服のポケットより、スマホが見つかる。
帝からもこちら側からも連絡手段は一切断たれたのだった。
いつもはスマホと連携させながら、ロックキー解除をしてるが、今回はそれすらも出来ないから移動手段が限られるだろう。
「まぁ、いいか、っと。ミカくんなら、朝飯前だろうし、少しは痛い目を見れば良いんだぞ、っと」
ニヤニヤと面白いとばかりに声を出して笑った。
「本当に君は飽きないよな、っと」
コードを抜き、ノートパソコンをカバンへとしまう。
さて、連絡の取れなくなった総長をどこで待ち伏せしとこうかと、考えるのであった。
「あ、チュッパ切れてるぞ、っと…。ミカくん置いて、買いに行ってくるかな、っと」
上総はルンルンしながら、街へ降りる帰路へと向かったのだった。
「糖分ないと、ハッカーなんて出来ないぞ、っと」
学園の生徒のフリをして、皇帝はよく忍び込みます。
でも右腕はキャンディがないと生きれません。
2025.01.01
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