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四神と神の子


夕刻時の辺りが暗くなった頃、四神のアジトでは周囲がざわつき始めていた。
その理由はと言えば、初めてメンバー以外の人物を連れていたからである。
青龍、朱雀、白虎、玄武、その他にもう一人マスクを被った者が紛れていた。
玄武に守られるようにして、腰を抱かれ、一目瞭然で彼の大切な人なのだと見て理解する。
マスクはと言えば、古より伝わる四神全部を真っ白いマスクに赤と金の刺繍で描かれたものであった。

「聞いた事あるぞ…、あの人って四神が全力をかけて守り抜く神の子だろ?」

取り巻きの一人が言葉にすれば、周りが拍車をかけたように話し始める。

「知ってる!あれだよな、四神メンバーの中の大切な人なんだって。ここ何十年は神の子は現れなかったけど、やっと伝説の存在に出会えたぜ」

そう言って、周囲は想像以上の盛り上がりを示したのであった。
それらを結愛が通る際に耳にし、どれだけ居づらかった事か。
そんな大それたものだなんて、想像すらつかなかった。
永久に身の安全は保障するとは言われたが、まさかこれ程のものとは。
こうして周囲に結愛の存在を認識させ、手出しさせないようにすると言う意味だったのである。
全て計算されていたとしたら、本当に頭が上がらない。
一番奥にある指紋認証でしか入れない部屋がある。
そこに結愛も新しく登録し、四神のメンバー同様に出入り自由と言う事になった。
どう考えても不釣り合いな場所に、戸惑いしかないのだが。
全員が認証により、室内へ入ると薄暗い10畳ほどの広さに黒いソファーが四つと、その中央にテーブルが置いてあった。
シンプルなもので、余計なものはなく、一台の冷蔵庫と更にもう一枚どこかへ続くドアがあったのだ。

「まだ皆さんには紹介してませんでしたね。僕の大切な恋人です」

そう言って、永久は玄武のマスクを外した。

「そして神の子として、僕ら四人で全力をかけて守るべき存在です。彼は信用おけるので、皆さんもマスクを外して大丈夫ですよ」

永久はニコニコと微笑みながら、結愛を連れてソファーに座った。
一人掛けのソファーな為、永久が座ったらもう隙間はない。
すると自らの足の上に、結愛をお姫様抱っこをするように座らせたのだった。
これにはさすがの結愛も驚きを隠せない。
二人きりでも恥ずかしいのに、知らないマスクを被った人間達がいる中で膝の上に乗らされてるのだから。

「神の子か…、お前がそれを決めたなら俺達はそれに従うまでだ」

青龍のマスクを取った人物に、結愛は目を大きく見開き驚く。
結愛自身もマスクをしている為、その様子を誰も伺う事は出来ない。
永久だけは自らの膝の上で驚き、固まっている様子をずっと優しい瞳で見ていた。

「始めましてと言えばいいのか。俺は青龍、そのままで呼んでくれて構わない」

咲雨はそう言って、永久の向かいに腰をかけた。

「へぇ、玄武が特定の相手を決めるなんて、あるんやなぁ」

聞いた事ある関西弁だと結愛が目を向ければ、朱雀のマスクを外した飛鳥がすぐ近くに立っていた。
そしてその場にしゃがみ込み、結愛の手を取り、手の甲に触れるだけの口付けをする。

「どこの姫さんか知らんが、俺は朱雀や。よろしくしたってな」

ウインクをして、すぐ隣に座ったのだ。

「…白虎」

一言だけ口にすると、ほとりは白虎のマスクを取って飛鳥の向かいに腰かけた。

「これで自己紹介は終わりましたね。では最後に、僕の愛しい人を皆さんに紹介します。彼は僕の全てをかけて、守り抜くと決めた大切な恋人です」

結愛の後頭部に手を回し、被っている白い生地のチャックを外す。
ゆっくりと白いベールで隠されてたように顔が晒されて行くと、メンバー皆が息を飲んだのだった。

「彼が神の子であり、僕の最愛の恋人ですよ」

永久がニッコリと微笑めば、四神の三人は絶句したのだった。

「あ、え〜…、そう、なるよな」

結愛が申し訳なさそうに声を出した。

「俺なんかを守るとか、何か本当に悪いな…。ちょっと色々な手違いで、みんなには迷惑かけるんだけど…」

本当に申し訳ないと頭を下げた。
だが、結愛はわかっていない。
三人が驚いたのは神の子と言うのもあるが、一番は永久の恋人だと紹介された事だった。
それが飛鳥とほとりの想い人なのだから仕方あるまい。
まさか、こんな形で結愛と顔を合わせるなんて思ってもみなかったからだ。
咲雨も永久が選んだのが結愛である事に、何故か焦燥感にかられたのだった。


四神と神の子の衝撃的な顔合わせ。


2025.01.03

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