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ギルバートは素早い速さで紫の側まで行き、その場に片脚だけを膝まづかせ、騎士が女性にするよう白く華奢な手を自らの両手におさめる。
急に触られ、しかも下から自分の顔を覗くように見上げられただけでも驚くのに、それが巨体の自分よりもひと回り以上歳の離れた男にされて、恐怖以外の何者でもなかった。
「っ…な、に…!?」
紫は意味がわからないと怯えて後ずさる。
だが、先程まで自分が座っていたソファーに脚を取られ、そのままひっくり返ってしまった。
「ユカ…!?」
ウィルが紫を支える為に走り出したが、それよも早くギルバートの体が入り込んだ。
そして男の上に座る形で、紫は尻もちを付いた。
尻もちと言っても座ったと言った方が正しいのたが。
それにそのままソファーにダイブした方が良かったのではないかと紫は思う。
何故、抱きしめられるようにして膝の上に抱えられなければいけなかったのか。
そう思うも、ウィルの同僚とは言え、初対面の見ず知らずな男に密着され、再び恐怖が襲う。
「すまない、こんなにスレンダーで可愛い甥だとは聞いていなくて…。俺とした事が…」
女性を口説くかのような低く良い声を出し、紫の手を再び掴むと触れるだけのキスをした。
「ひっ…!?」
欲情の籠もった瞳を向けられ、ただ意味がわからない。
紫は違った意味での恐怖が今度は身に走り、ギルバートの手を振り払った。
「ギル!!お前何をしてるんだっ!!?」
ウィルの珍しく怒った顔と怒鳴り声。
自分に対してこんな風に向けた事がなかった為に、紫はびくりと体を震わせた。
「…ウィル、女神が怯えているだろう。こんな童顔で可愛くて若い子を匿って…。しかも日本人じゃないか。何で一言俺に言わない。何だ、この怯えたうさぎのような震えは。全くもってけしからん。」
ギルバートから出て来る言葉に、紫だけではなくウィルまで固まった。
こいつは何を言っているんだ、と。
「警戒心むき出しで俺の手を払って、全然痛くも痒くもなくて、それで拒絶したつもりなんだろ。けどそれは返って男を煽ぐだけだ、追いかけて捕まえて、こんな風にしたくなってしまうじゃないか」
そう言った瞬間、顎を固定され、無理矢理唇を奪われた。
「んんー!?」
紫はびっくりし、ギルバートの胸板をバシバシ叩く。
だが、筋肉のつけられた厚い胸板はびくともせず、むしろ先程言うように煽っているだけにみえる。
「っ!!?ギルバートォォ!!!!」
先程の比ではないくらいのウィルの怒号。
顔は鬼のように怒り狂い、紫を自分の元へ引っ張るとギルバートを思い切り殴りつけた。
2024.08.09
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