tori


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成はゆっくりと祥龍へと近づき、何も映さなかった瞳に彼を捉える。

「……ほんなら、副を通してぇや…」

ポソポソと小さな声で呟いた。
初めて聞いた声に、祥龍の目が見開く。
標準語を喋るのだと思ってただけに、予想すらしなかった関西弁。
度肝を抜かれるとは、この事を意味するのだろう。

「その副ってのが隊長に確認しろと言いやがるんだ。チッ…面倒くせぇ。テメェが匿ってんだろ?ずっと探してんのに尻尾すら掴ませやしねぇ…。どうなってんだよ、早く出しやがれ」

祥龍はイライラを隠そうともせず、貧乏揺すりをする。

「…………。その話、あの人に関係ある事なん?」

ビー玉のような瞳で祥龍を凝視すれば、相変わらず気持ち悪い目をしやがって、と溜息をついた。
成の言う、あの人とは隊長の事なのだろうか。
聞き返しはしなかったが、話の流れでなんとなくそうなんだろう事をその場にいる者は理解したのだった。

「隊長に関係あるって言えばあるが、俺が用事あんのは副隊長の方だ…。あの野郎を風紀委員に引きずり込みてぇ…」

祥龍は本来の目的を言うのは不本意だが、成には隠しても仕方ないだろうと感じた。
どうやら、大翔の言う事は正しかったようで、書紀様は隊長様を偉く気に入っており、人前に出す事を酷く嫌う、と言うのは本当の事なのだろう。
人の噂は宛にならない。
泊にお熱だとか、大切なのは会長様だから生徒会に入ったとか、色々耳にするがどれもデタラメだ。
あの成がここまで感情を現し、しかも声を発する程に守りたい相手。
それは泊ではなく、隊長様なんだろう、と。
先程までの禍々しい空気が一変し、成がふわりと微笑む。
その美しさと言ったら、ノンケの祥龍ですら唖然とするものだった。
泊はその様子をただ静かに傍観したのである。

「…協力しても、ええで…」

ゆっくりと祥龍の耳元へ近づき、小さく囁く。
泊は驚愕の表情を浮かべ、祥龍はその様子を見逃すまいと、凝視したのだった。

「あ?……ブハッ!!テメェ…馬鹿げた事抜かしやがって…!」

グハハっと悪役のように大笑いし、気に入ったと言わんばかりに成の肩を叩く。

「オマエ…面白えな。俺も協力してやるよ」 

クククっと肩を震わせ、再び笑い転げたのだった。



書紀様が必死に隠してる隊長様とは一体…?


2024.09.14

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