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調理室にて、唯一ここの出入りを許されてるのが平だ。
何故かと言えば、この学園で料理を作ろうと思う輩がいないからである。
カードキーで何でも精算され、食堂やコンビニ、レストランまで配備されている為、わざわざ作って食べる必要がないのだ。
その事から、一年からずっと平一人で管理していた。
部活動と言うにはあまりにも定員が人数足りない事から、部として存続しているのではなく、あくまで調理研究会と言う名前で登録されている。
「ん〜、相変わらず美味いで、俺の作ったカレーは」
フンフンフンフンと鼻歌を歌いながら、グツグツ煮込む事30分。
昨日のうちから既に下準備からし、カレースパイスを調合し、グツグツ煮込んでいたのだ。
それをこちらに持って来て、再加熱すればトロトロに溶けた野菜の旨味がルーに溶け込んでいるてはないか。
ピーっと電子音と共に現れたのは書紀である、成だ。
それをさも当たり前のように平は出迎えた。
「なー、いらっしゃい」
ニコニコ平が笑いかければ、成も同様に嬉しそうに微笑んだ。
なーとは、成のあだ名である。
「タイ、邪魔するで」
花びらが舞うような美しい笑顔で、平の隣へと移動する。
タイとは平のあだ名だ。
これは二人だけが特別に呼び合ってるので、他の人間が同じように呼ぶ事を許してない。
「俺の好きなカレーや、おおきに」
まるで流れるように平の頬に口づけを落とす。
それを擽ったいとはかりに体を縮こまませて受け入れる。
「昨日から、グツグツしとるから、めっちゃ美味しいで」
成へと笑いかければ、愛しいとばかりに目を細め、平の額に口づけを落とす。
「いつもありがとさん」
何度も何度も顔に口づけをし、カレーをグツグツ煮ている平の手を優しく掴む。
お玉をその手から奪い、シンクに置けば、熱い視線を送った。
「充電、するんか?」
自分よりも10センチ以上高い成を見上げ、平はガスのコンロの日を止める。
「もう、限界やねん…はよ、欲しくて堪らん」
平の後頭部へと手を添えれば、成が熱のこもった瞳で見つめた。
「最近、頻度多いちゃう?他にもなーのファンぎょうさんおるで?」
平の頬が、これからするであろう行為を思い出し、赤く染まる。
それを愛しいとばかりに成が空いているもう片方の手で触れた。
「へーがええ。へー以外となん、考えられへん」
甘い空気をまとい、成がゆっくりと顔を近づければ、平が目を閉じる。
そして二人の距離がゼロになれば、唇が重なった。
「…ん」
平の甘い吐息が洩れ、成の胸がトクリと音を立てる。
頬に添えていた手をするりと腰に絡ませ、グッと力を入れて引き寄せた。
「っ…んっ」
触れるだけだった口づけが性急なものへと変わり、息継ぎの為に平が口を開けば自然と成の舌が侵入して来る。
ぬるりと生き物のような動きで、探り当てた舌を捉えれば、くちゅくちゅと粘着質な音が響き渡った。
「はっ…んっ、ふぁ…」
掠れた甘い声に、なの下半身がグンと大きく反応する。
「っ、ぁ…やっ…、も…」
平はあまりの激しい口づけに立っている事が出来ず、成に縋り付くように体重を預けた。
その反動により、勃ち上がった下半身が平の腹部に当たる。
ゴリっとした音と共に、成からくぐもった声が洩れた。
「っふ…!」
ブルリと成の体が痺れ、平の腰から手をするりと下げ、柔らかな双丘を掴んだ。
まるでわざと主張するように、勃起した下半身を押し付ければ、今度は平がビクンと体を跳ねさせたのだった。
「あっ…っぁ」
形が変わる程に臀部を揉み上げ、はっはっと荒い呼吸を上げる成。
平は荒々しい口づけから逃れ、ツーと銀色の筋が互いの舌からのびる。
それが重力に負け、プツリと離れた。
「っ、なー…、やめぇっ…」
涙目の平、止めろと言われて、止められる人間がいるはずがない。
チャイムの音が鳴った瞬間、視界がグニャリと歪んだ。
ガバリと顔を上げれば、いつもの見慣れた教室。
手の中にいた、あの愛しい存在は何処へ。
成はしばらくボーッとしたまま、動く事すら出来ない。
「…………夢か」
まさかの夢落ちに、反応してる自身を恨めしそうに捉えた。
「………リアル、やったな…。めちゃくちゃ…可愛いかってん…」
ポツリと呟いた声は、お昼休みを知らせるチャイムでかき消されたのだった。
(あんな風に触れたら、良かったのに。)
2024.09.18
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