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貴一を探しに裏庭へ行けば、案の定、芝生に寝転がってグーグーいびきをかいていた。
太陽の光が顔に当たってもお構いなしで、起きる気配すらない。
黙ってれば可愛い顔をしており、そこらの女子よりも綺麗なのだが、いかんせん。
喋ればうるさい、目立ちたがる、しまいには笑いのクオリティを相手にも求める。
その為、遠巻きには人気あるらしいのたが、友達になろうとはあまり思われないらしい。
ここはお坊ちゃんやエリート、校舎は離れているが裏社会関係の不良など様々なので、あまり関わりたくないが本音なのだろう。
起こそうかと思ったが、まだ授業開始までに時間もたっぷりある。
平は貴一の隣に腰を降ろした。
周りを見渡せば自然と青い空。
ここは無人島に作られた唯一の学園なので、無駄に敷地だけは広い。
そして、不憫なく暮らせるように生活必需品や食材、その他諸々も学園内にある専門店へ行けば何でも揃うのだ。
のどかで良い所である。
そこに男子オンリーではなく、女子もいたらもっと良かっただろうが。
帰省するには長期休みや、不幸などがあれば休み届けを出して島を出なければならない。
その為、家族や友達、恋人にもなかなか会えなくなるからこそ、男同士の恋愛に発展してしまうのだ。
だが、幸いな事に最初でも話たよう、平の周りにはそう言った人間がいなかった為、何の危機感も感じてない。
一年と少しいて、何もないなら、この先もずっとないだろう。
そう思っていた。
今日までは。
あの男に出会うまでは。
「ぁ…〜っ、っ…」
何処からともなく聞こえてくる声。
まるで苦しんでいるような呻き方に、平の耳がピクリと動いた。
「……は?」
さわさわっと心地良い風と共に、その声は少しずつ大きくなって行く。
「ちょ、キー…目ぇ覚ましぃ」
トントンと貴一の肩を叩くもうーんと唸ったきり、起きようともしない。
え、何、アホなん、と平がツッコミしても目を覚ます気配がないではないか。
「あー…もう!」
頭をガシガシと両手でかき、スマホを取り出し大翔にLINEを送る。
仮に何かあっても一人では対応出来ないし、怪我人だったら、平の細腕では抱え上げる事も出来ないだろう。
もう一人、平が誰よりも頼りにしている人間がいるが、色々事情があり学園内ではなかなかコンタクトを取れずにいた。
そして、役職持ちだから、忙しいだろうと敢えて連絡しなかったのである。
きっとこの事を知ったら、とても怒るだろう人物を思い浮かべ、どっと疲れが増した。
「ひっ…ぃ〜…ぁぁっ…」
更に苦しそうな声に、平は大翔からのLINEに気付けなかった。
もし、これを見ていたなら、あんな事にならずにすんだだろう。
過去に戻れるなら、この時に戻りたい。
そう未来の自分が言った。
いくら治安の良いお坊ちゃま高校でも警戒心は最大限に持ちましょう。
2024.09.22
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