tori


9※R15


※R15、性的表現あるので、苦手な方はスルーして下さい。


男が自らの口を開け、ゆっくりと舌を覗かせた。
形の良い薄い唇から見える赤い舌は、何とも言えないいやらしさを感じさせるもので。
柳はそこから視線を逸らそうとするも、何故か目が離せないでいた。
男の指がその舌に触れたかと思えば、見たこともないピンク色の錠剤がそっとそこに乗せられる。
ゆっくりと腰に置かれた手が、性的なまでの動きで背中から首筋への登ってくれば、平の体がふるりと震え出す。
ゾクっとするような恐怖の中で、微かな擽ったさが交じる。
それにより、平凡な顔に赤みが加われば、目の前の男の瞳が微かに揺らいだ。
そして首筋にある手に力が込められたと思った瞬間、男の整った顔が再び近づいたのだった。

「っ…?」

平が驚いてる間に、男の瞳が先程までのからかいのものから、微かにギラついたものへと変わるのを目にし、平の中でまずいと警告音が鳴る。
抵抗しようと顔を逸らすとそれを許さないとばかりに、男の顔が追って来た。
平は後ろへ後ずされば、同じように男が間髪入れず歩み寄る。
腰に腕を回された状態で逃げる事は困難となり、そのまま更に後ずさろうと足を動かせば、トンと背中に感じる硬い感触。

「あ…っ!」

それが木造の建物だと理解した次の瞬間、先程とは違った奪うような口づけをされたのだった。

「ぅ、んっ…!?」

平が驚愕の表情を浮かべてれば、唇の隙間からぬるりと生暖かい何かが侵入して来た。
更に硬い物が喉の奥へと追いやられ、男の唾液と共に送られる。
グッと来た分泌液に、喉元までそれが届いた瞬間、ゴクリと飲み込んでしまった。

「っんん!!?」

今、自分が何を飲み込んだのか、そして現在起こっている事が理解出来ないまま、平は目を大きく見開き、目の前にある長い睫毛を見ていたのだった。
背中にある木造の壁に体を縫い付けられ、開いていた足の間に男の膝がグッと入ってきてしまう。
まるで逃さない、そう言っているかのように全ての動きを封じられてしまえば、あとはされるがままだった。
口腔内に入って来た何かが、平の舌を探り当て、激しく絡まって来る。
何度も何度も水音を絡ませ、生き物のように執拗なまでに吸いついて来たそれが何なのか、一体何故こんな事に。
そればかりが平の脳内をぐるぐる回っていた。
ちゅぷ、ちゅ、っといやらしい響きと共に絡まった熱いそれが男の舌だと気づいた時には、平の股関に男の膝がスリスリと擦り付けられ、その中心が重い熱を持ち始めていた頃だったのだ。

「ひぁ…っ、ぅむ…っん…」

自分から洩れるかん高くて甘い声。
それに一番の衝撃を受け、平は唖然としてしまう。
まるで感じてるような、セックスの最中を思わせるかの如く、甘く期待してるような声。
こんなはしたない音が自分から洩れるなんて、と。
男の呼吸が荒くなるのがわかり、何の経験もないのに、これが自分に対して興奮しているものだと瞬時に理解出来た。
そう思った時、ずくりと体の奥が熱く疼いたのだ。
この熱を持ったような、痺れる感じ。
嫌な予感がした。
これはあれだ。
中学生になって初めて、そう言った雑誌を見せられた日の夜、一人で布団の中で慰めた感覚に似ている。
ずくずくずく、熱が下半身に溜まって行くのがわかった。
ああ、まずい、そう理解した時に、男の膝が一層強くグリっと入る。

「んぁ…、ぁ、あっ…!」

ビリビリっと脊髄に響く電流。
平は自分が欲情している事にようやく気づいた。

「そ、んな…嘘、や…っ!」

性欲に淡白な自分が、名前も知らない初めての人、更には男に欲情するなんて。
ありえない、嘘だ、こんなの夢に決まってる。
そう頭で否定するのに、どんどん欲が溜まっていく。
何なら、今すぐにでもこの薄く綺麗な唇に貪りつきたくなった。


まるで獣、そのもの。


2024.09.26

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