tori


10


必死に抗うも下半身は正直で、男から与えられる口づけに翻弄される。
むしろ、自ら口を開け、性急なまでに舌の侵入を待ちわびているではないか。
情けない、本当に情けなくて堪らない、なのに気持ち良い、もっと欲しい。
そんな気持ちが入り交じり、頭がパンクしそうになる。

「っ…随分、可愛いね…」

男が目元を赤らめ、欲情した瞳で平をジッと熱く見つめた。
はぁはぁと互いの息がかかり、平は目の前の男の胸元のワイシャツをぎゅっと掴んだ。
それだけなのに男の喉がコクリと鳴り、こんな平凡にメロメロになるなんてと自分自身に苦笑いする。

「っ…はっ…、も…っ、いやや…」

目から涙を流し、体を震わせて、目の前の男を引き離そうと必死に力を入れた。
なのに、下半身はジンジンと熱を帯び、疼いて仕方なく、どうする事も出来ない。
柳は初めて味わう激しい程の性欲に、自分ではもう止める手段無く、こんなはしたない醜態を晒している事を酷く後悔した。
頭をふるふると左右に振り、こんなのおかしい。
普通じゃない、何でこんな。
と、様々な感情が押し寄せる。

「関西弁なんだね。名前…聞かせてくれるかな?」

涙を流す平の目尻をそっと親指で拭ってやる。
何と純粋でいて、穢れを知らない少年なんだろうか。
この学園にいて、全く警戒心と言うものを持ち合わせてない。
それどころか本気で自分自身に戸惑っている姿は、庇護欲をかきたたせるものがある。
男は先程、安易な気持ちで媚薬を口に含み、キスをしながら流し込んだ事に失敗したなと思っていた。
ちょっと協力してもらうつもりでからかって口づけたは良いが、唇の感触がとても良く、もうちょっと味見してみよう。
なんて思ってしまったのが運の尽き。
うぶな反応に気を良くして、男自身も少し媚薬を飲み込んでしまったから、唾液を送り込む時にコクリと飲んでしまった。
あれくらい大した事ないと、実際媚薬を飲んだ事もあるし、キス程度で勃起なんてしなかったのに。
この目の前の平凡な少年のかん高い声、きっとキスが初めてなのだろうと連想させる行動、その反応全てに煽られたのだった。
あー、マズいなと思った時には、本気で欲しくなった。
後できっとアイツに怒られるし、こっ酷い仕打ちと言う名の拷問にも合うだろう。
あまり痛い事は好きではないが、それを差し引いてでも、この平凡な少年を自分のものにしたくなってしまったのだ。
決して自分は同性愛者でもゲイでもないのに、酷く目の前の少年に夢中になってしまっている。
下半身がズキズキし、今すぐにでもでろでろに甘やかして、何度も啼かせて、時間が許す限り抱き潰したい。

「ね、…聞かせて?僕は…」

男が何かを伝えようと話し出した瞬間、バタバタと物凄い勢いで足音が近づいて来た。

「っ!…タイムオーバーか」

悔しそうに、焦ったように足音の方へ視線を向けると名残りおしそうに平を見つめた。

「必ず…向かえに来るから」

そう言って、触れるだけのキスをし、男は居なくなった。
平は支えを失った体を保てる訳もなく、ずるりと壁越しに尻持ちをつく。
そして、未だに朦朧とする頭で、必死に逃げなければと這いつくばるもペタンと地面に倒れ込んでしまった。
ピクピクと体を震わせ、体が熱くて仕方ない。
早くこの熱を発散したくて、部屋へ向かおうと力を入れるも全く動く事が出来なかった。

「大和くんっ!!」

大きな声がしたと思えば、普段荒らげた事のない、冷静沈着な同室者の大翔が血相をかえて走り寄って来た。
何をそんなに慌ててるんたろうか。
そうだ、自分がラインしたんだっけ、と平はどこか他人事のように思うのだった。

「大丈夫ですか!!大和くん、大和くんっ!!」

必死に自分を呼び、大翔が平の体に触れた瞬間、甘い電撃が走った。

「あ…んっ…!?」

艷やで甘い声に、固まったのは大翔。

「っ…ぁっ…やぁっ…ん、…触ん…なゃっ!」

かん高く、誘うような甘い声。
さっきよりも酷くなる疼きと、自分の甘ったるい声に吐き気がした。


2024.09.27

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