tori


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遂に朝が来てしまった…。マイダーリンからの、あの熱烈(?)なキッス事件から1日経ったよ。もう、登校拒否していいかな?いいよね!俺、ヒッキーになりたいよ!…あ、16才で歌手デビューした某有名歌姫の事じゃないからねっ、ってこのネタわかる人は俺と世代一緒だわ…

「おらぁっ、あんたぁ!毎日毎日あたしを困らせんじゃないよ!」

はい、今日もお決まりのパンチパーマなオカン参上。三日目になるともはや慣れて、この時間が楽しみになってきたよ。

「そのショートヘア、パンチパーマにしたろか?」

あ、嘘です。全然慣れませんっ!!年頃男子が坊主でも抵抗あるのに、オカンと親子でパンチパーマって、どんな拷問だよっ!頑張って秒で起きます!

「マイマザー、さーせんっ」

とりあえず、ジャンピング土下座して、謝ったらオカンに鼻を鳴らされたよ!え、何、めちゃくちゃアホを見るような顔をして、バカにしたよね、今っ!!ねぇっ!仮にも可愛い一人息子だよ、多分。

「はっ!?」

今日は家を出たら、学校だったけど、何故かいつもと景色と言うか、シチュエーションが違う。何だこれは、と思って辺りをぐるりと見たら、自分、キャンパスの前に座って、筆を持ってたんだけどぉぉぉ??めちゃくちゃ意味不だわ…。ここ、絶対美術室だし。

「本郷、どうかしたのか?」

急に背後から声をかけられ、結愛は数秒固まる。
それもそうだ、声の持ち主が真後ろにいて、背中にその彼であろう胸板の感触があるんだから。

「ほぇ…?」

ホワイ?何で俺はこの低音ボイスの彼から、バックハグのような形で包まれとるんだ…。記憶がない一瞬で、一体何が起きた!誰か説明プリーズっ!!

「昨日も言っただろう?この部分はこうするんだ…、いいな?」

キタァァァァ!耳元で囁かれ、貰いましたぁぁぁ!なんじゃ、この低音エロボイスっ!!ちょ、待てよ!つい、キ◯タクになっちゃったじゃねぇか。いや、そうじゃなくて、何だよ、この孕みそうな良い声はっ!?ふざけんなよ、めちゃくちゃドキドキするじゃねぇかっ!畜生、すっげぇ好みの声だよ、どうしてくれんだよ!つか、昨日も言ったって言ってたけど、全く会った記憶もなければ、マイダーリンとキッスした事しか思い出せないけどね!

「本郷?」

低音エロボイスは結愛が全く反応しない事を不思議に思い、バックハグな体制から、顔を覗き込むように見た。

「ひぃいぃぃぃ、イケメンっ!!?声もタイプだけど、顔もめちゃくちゃ硬派でヤバスっ!!」

バチリと互いの目が合い、低音エロボイスこと、関戸矢蘭が驚いた表情をする。
男前で、その上に眼鏡をかけており、正直、結愛のタイプど真ん中な訳で。
クォーター、あのナイスガイがいるよ、とか訳のわからない言葉を発してはブツブツと独り言を言っている。
そして結愛の顔が見る見る、赤くなっていった。

「……」

蘭の顔が急に真剣な物へと変わり、腹でも壊したのか、と声をかけようとした瞬間、背後から抱き締められた。

「!?」

結愛は驚きの余り、体が硬直してしまう。
もちろん、動悸、息切れも半端ない。
今なら死ねる、そう思うくらいに幸せだ。
こんな男前にバックハグされたら、そりゃ嬉しいし、例え自分が男であっても妊娠するくらい女性ホルモンが分泌されたであろう。
実際は男だから、そんなホルモンないのだが。
それくらい、結愛の脳内は大変な事になっていた。


2024.07.28

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