tori


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「副、外部生見つけたんだけど、犬っころの忠犬、こっちに寄越してくんねぇか?え?あぁ、俺はサボってた訳じゃねぇよ、光合成してたんだよ。大切だろ?」

どうやら、ここに柳を探しに誰か来てくれるらしい。

「あ、えと、会長?俺よりも、転校生が木の上にいて、助けて欲しいって言ってました」

柳の言葉に、青年は耳からスマホを離した。
そして、目を大きく見開いたかと思えば、顔を真っ赤にして、吹き出した。

「え、転校生、木の上にいるのか?ぶはっ!!?何だ、それ!今日、看守いねぇから、もしかして不法侵入したのかよ!!
いやぁ、ガッツあるなぁ!」

面白ろいとばかりに青年はゲラゲラと笑った。

「あ、それと転校生が侵入したらしいから、ドーベルマンを撤収させて、副、迎えに来てくんね?よろしく。そいつ、木の上に避難してるっぽいから、頑張って探してくれよなぁ。ん?…あぁ、ちゃんと戻るから、そんな怒んなよ。あとで相手してやるから、良い子で待ってろって」

どうやら、電話先の相手が怒っているらしかったが、帝は大して気にしてなさそうに笑ったのだった。
そしてスマホを切れば、柳へと顔を向けたのである。

「何か、お前、色々大変だったな。えーと…織田、だったか?あんな奴に惚れられたせいで、これから忙しくなるぞぉ」

その言葉に、柳がピクリと反応する。

「え、ヤバい…っすか?」

怯える柳が新鮮なのか、どこか楽しそうに笑う帝。

「いやぁ〜、まぁ、そうだよなぁ。あいつ、しつこいから、お前、処女失うだろうなぁ…」

(処女!?は!?え、処女ってなんだよ!?)

「あ、外部だから、ここの特殊な風習、しらねぇんだったなぁ。何だろなぁ…ここってさ、男子高のエスカレーター式じゃん?だから、ガチで男が恋愛対象なんだよな。卒業してからもそれはずっとかわらなくて、ずっと俺等は箱の中で飼われてるような人生になる訳だ。まぁ、悲観する事ねぇよ、金にも仕事にも困らねぇからな。ただ、織田って奴は今までそう言う類の噂なかったんだよなぁ。こうさ、信用ならねぇって言うか、胡散臭さは見てわかるんたけど、誰かに執着?愛情?っての持ってなかっただけに、ミステリアスで人気だったから…お前に何もなければいいなぁ?例えば、制裁とかさ。まっ、頑張って逃げ切れよ」

長い、長い。
とても長い説明の後、最後に突き放された感じはどうしたら良いのだろうか。
何となく、BLゲームの世界だからわかってたものの、自分らは一生異性とどうにかなる未来は訪れない絶望を知った日だったのだ。
哀れ、小鳥遊柳。



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