12※攻×攻
※主人公とじゃない、攻×攻の絡みあり。苦手な方はスルーして下さい。
咲雨は小さな溜息をつきながら、恭介がいるだろう場所を探す。
帝がわざと居場所を教えないのも、自分に行かせるのも、単に面白がってるからなのは明白だった。
誰よりも楽しい事を好む男の下であと1年間も仕事しなきゃいけないのか、と漠然と思ったのだ。
咲雨は木の上に登れる程の身体能力の高い持ち主ならば、正門付近よりも講堂付近にいるのだろうと予想していた。
帝のサボってる場所なんて限られており、講堂前の大理石か、あとは数か所あるベンチしか無いので目星はつく。
この2つを推理すれば、転入生もとい、恭介がいる場所はおおよそ検討がついたのだった。
おおい茂る木々の中に、大層目立つ金髪と白い制服が見える。
あれが探していた人物で間違いないだろう。
咲雨はそれを遠くから見やり、声をかけた。
「阿曽沼恭介で合ってるよな?副会長の桜鹿咲雨だ。一般生徒の連絡を受け、迎えに来た」
咲雨の声に、恭介が顔を上げた瞬間、互いに目が合う。
すると、咲雨は特に気にした風ではないが、恭介が大きく目を見開いたのだ。
そして不敵な笑みを浮かべた。
「あいつ、やっぱ良い奴だな!
それにしてもあんた…すげぇ良い男!」
恭介は上から下まで舐め回すように見つめた。
「格好良い系かと思ったけど、唇のホクロが妙にエロいな」
その言葉の意味と、視線に気づかない程、鈍感ではない咲雨は眉間にシワを寄せる。
昔から男女共に、性的対象に見られていた。
それにより同性愛たるものが大嫌いで仕方ないのだ。
見るのも嫌なのに、自分がその対象になるなどもっての外である。
「……」
そして、まるで汚物を見るような瞳を向ければ、恭介の中で初めての感覚に自然と心が踊る。
自分の容姿に相当な自信はあった。
そこだけは親に感謝している。
この外見のお陰で、狙った男は100%の確率でものにして来た。
それはこれからも変わらないと信じていたが、その記録も今回で止まるかもしれないと直感したのだ。
恭介が出会って来た中で初めてなのだ。
人間としての欲望が全く見えないと言う事が。
一方、咲雨は出会って数秒で、恭介への印象がカースト最下位になったのは言うまでもなかった。
「う、わぁ…ゴミ見るように見るのかぁ、いやぁ…すっげぇソソるわ!一回だけで良いから抱かれてぇ」
恭介はタチネコ問わない性質なのだ。
どちらかと言えばネコだろう。
気持ち良い事が大好きで堪らない。
挿れる側よりも挿れられる側の方がより快感をえられる事を知っているからだ。
この男に組み敷かれて、背後から無理矢理犯されたい。
力尽くで抑えつけられて、本能のまま全力で突かれたい。
「ぃよっと!」
咲雨が少しずつ近づいて来た瞬間、恭介は木から勢い良く飛び降りた。
その姿に、びっくりしたのは咲雨だ。
あんな高さから降りたら、ただでは済まされない。
足を挫くか、最悪骨折だろう。
「っ…何をしてる!!?」
咲雨の怒鳴り声など気にも止めず、綺麗に着地。
まるでチーターのような俊敏さに、ほんの少しだけ目を奪われる。
そんな風に思っていたからだろう。
恭介が勢い良く咲雨の方へ走ってきたが、あまりにも急な行動に、一瞬の判断を忘れてしまう。
それがいけなかったのだろう。
恭介が目の前に来て、咲雨の項を勢い良く引き寄せた。
2人の身長は同じくらいで、バチリと互いの視線が絡まる。
「頂きます」
そう言って、恭介が咲雨の唇を勢い良く奪った。
「んっ!?」
咲雨は目を大きく見開き、慌てて恭介の肩を押し返した。
だが項と腰に回った手が緩む事はなく、びくともしないのだ。
息を吸う為に、咲雨が口を開けば、ぬるりと恭介の舌が入って来るではないか。
咲雨はあまりの気持ち悪さで吐き気をもよおした。
「ふざけるなっ!!」
思いっきり恭介を突き飛ばし、頬を殴りつけた。
「っ…気持ち悪い…!お前みたいなのがいるから、俺は…!」
咲雨は今にも失神しそうなくらい顔は青ざめ、体を小刻みに震わす。
拒絶反応といった所であろう。
嫌悪感が全身から漂っていた。
「っ…。はぁ…。…風紀に報告する、お前のような奴を野放しになんて、出来ない」
咲雨は冷静さを取り戻す為、空気を吸って、吐いた。
油断したのだ。
完全に、この男を侮ってしまっていた。
「うん、良いぜ!好きなだけ逃げろよ、そうされると余計に燃えるから」
新しい玩具が見つかったとばかりに恭介が笑った。
咲雨は自らの唇を手の甲で脱ぐい、必死に吐き気を抑えたのだ。
(だからこんな所、来たくなかったのに)
2024.07.11
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