tori


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風紀委員長を始め、2年と3年の生徒が薬と恐喝未遂、そして暴行事件により一斉摘発された。
6人の生徒が自主退学したのだ。
学園中は混乱に陥り、風紀を乱していたのは風紀だったと記事を目にしたのは記憶に新しい。
永久自身はその頃、中学生までしていた風紀を続けようとしたが、この学園の風習がそうはさせず、その任に就く事を許されず。
不良と呼ばれるF組、または喧嘩などで騒がれた経験ある人物は場を乱すと言われ、一般生徒として在籍していた。
事態が変わったのは風紀を担う人間が居なくなり、荒れ始めた学園になった頃。
風紀顧問の教師が頭を下げ、懇願して来た。

『犬神…頼む。調子の良い事は重々承知だ。だが、もう犬神にしか頼む事が出来ない。この…荒れ果てた学園を立て直してくれ。お前のやり方でいい、もう俺達教師や生徒達も限界なんだ…!』

窃盗、暴行、恐喝、強姦、強姦未遂、それらが表立って来て、停学者と退学者が続々と去っていく現状。
学園崩壊とも言えよう。

『本当に俺のやり方でいぃんだな?あ?』

永久からしたら、願ってもないチャンス。
ここに再び君臨出来るのたがら。
だが、それを感じさせないよう、あくまでお願いされたテイで引き受けてあげる事にしたのだ。
それからの風紀の仕事はとにかく忙しかった。
自分1人しかメンバーが居ない、なのに事故や事件は続き、書類は溜まる一方だ。
そんな中、ひとりの少年が助けを求めに来た

『狙われてるんです、先輩、助けて下さい』

そう訴えて来た時、言い訳にしかならないが、不眠不休で仕事をしており、メンバーも自分しかいなかった。
だから、鼻で笑って、追い返してしまったのだ。
必死に訴える少年の気持ちを汲む事もなく。

『っ……!?』

その時の顔が今でも忘れられない。
泣きそうな、全てを諦めたような酷く歪んだそれ。
あの時の生徒が、今まさしくここに映っていた小鳥遊柳だったのだ。


永久は己の回想を止め、拳を深く握りしめる。
あの日から数ヶ月後、柳が階段から落ち、記憶喪失になったと聞かされた。
ほとりや篠、千尋を風紀に入れ、ようやく整ってきた矢先の出来事だったのだ。

「……情けねぇな。知る勇気も無ければ、知ろうともしねでんたから…てめぇに呆れるぜ…」

自らに呟き、ゆっくりと息をつく。
だからあの日、永久自らが柳の部屋で護衛していた。
庇われてる、そう思っていたのだ。
柳は自分を庇い、記憶喪失なふりをしたと。
だから、あの映像を見せて、自分を責めて欲しかった。
あなたのせいで、おれは強姦未遂となったと。
そう罵って欲しかったのに、実際は違った。
本当に記憶喪失になってしまっていたのだ。
どれだけ怖かっただろう。
どれたけ痛かっただろう。
身も心も。
風紀を固める為たけに、この数ヶ月を費やす日々。
玄心と真琴を引き入れ、もう少し強化したくて必死になっていた。
柳に護衛をつけたのは、彼への罪悪感だ。
2度と被害者を出さない為に、永久は風紀委員長を辞める訳にはいかない。
この罪はずっと背負っていくものだと。


2024.09.08

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