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柳はひとり、考えていた。
そろそろお腹がすく頃だな、夕飯どうしようかな、2日連続で授業出てないけど、これって大丈夫なのかな、と。
そして、ある重大な事実に出くわしてしまった。
(色々あって忘れてたけど、俺って…友達いなくね?…え、嘘だろ?高校生って一番楽しい時期じゃん。それなのに友達ひとりもいないって、人としてどうなの!?…いや、確かにいない人もいるだろうけど、もろもろ事情あってさ!でも俺には何の事情もない!!いや、1人いる!ちょっと向こうの事情で公に出来ないけど、1人だけいる!)
柳はいてもたってもいられないとスマホを弄った。
そこには1人だけラインのやり取りをしている人物がいて、ほっと胸を撫で下ろす。
自分には知り合いと言うか、関わりのある人達はいるが、友人枠と言ったら、みんな違うだろう。
そこに1人だけ浮上する人間に会いに行きたい。
そう思い、柳はそろりと部屋を抜け出した。
「どうした」
(あぁぁ!!?見つかった!そうだよね、いるよね!わかってたけど、何でいるの!?何の為にいるの!?)
柳は恐る恐る声のする方を見れば、暗闇から篠が出て来る。
闇の住人なのか聞きたくなるくらい、あんな暗い所で1人立ってるなんて、柳には全く理解出来なかった。
「いや…、ちょっとご飯食べたいなぁって思って…」
そう伝えて、食堂へ行こうとすれば篠はすぐさまスマホを弄った。
「安心しろ、今頼んだ」
篠は表情すら変えず、さも当然のように言葉にする。
「……え?……頼んだ?」
(そっかぁ…、頼んじゃったのかぁ…)
チーンと音がするくらいに落ち込む柳。
そんな様子に気づきもせず、また暗闇に戻ろうとする篠に声をかけた。
「夜蔵!一緒に食べに行こう!!俺は自分で選びたい!」
棒読みのような大声を出し、篠へと向き合った。
当然却下される事を前提に、なのだが。
「そうか、それもそうだな」
そう言って、篠はスマホを弄り、注文キャンセルをしたのである。
そして、柳の方へ歩いて来て、目の前で止まった。
「……え、一緒に行ってくれるのか?」
「自分で選びたいんじゃないのか?」
篠は冷たい目で柳を見て、その瞳には相変わらず何も映し出されてないのだが、提案に乗ってくれた事に歓喜したのだった。
「選びたい!!ご飯たくさん食べたい!」
篠の腕を無意識に掴み、早く早くと駆け出して行く。
そんな柳をビー玉のような目で見つめるのだった。
(友人に会いたかったけど、夜蔵がいたんじゃ無理だろうな。明日にでも会いに行ければいいなぁ…)
今は篠と言うお供を連れ、食堂へ行く事にうきうきな柳なのだった。
後にあのアンドロイドがついに恋人を作っただの、春が来ただの噂になったのを知るよしもない。
2024.11.12
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