クレアとの●●の話7 レヴィさんは「レムレース」のメンバーの中でも大人しい部類だ。手先が器用で副業の商品の製造も一番丁寧で完成度が高い。 目を覆う程の前髪を持った童顔の少年だ。 銃が好きだそうで、改造された銃やちょっと変わった弾をいくつも所有している。 その改造はなかなかユニークだ。護身用と渡された驚く程小さく軽いペン型の銃や、持ち手に銃を仕込んだナイフだったり。組立式銃もあった。 しかし、組立式はレヴィさん的には失敗作らしい。銃身のつなぎ目の影響でどうしても照準がズレるそうだ。いつかズレない組立式銃を作りたいと言っていた。 何度か改造を手伝わせてもらった事もある。チェス君が開発を手伝ってくれた爆薬と併せて量産出来れば売れないかと思ったからだ。幸い、ガンドールファミリーやベリアム議員など、売りつける当てはある。 そういう意味では確かに敵に回したら厄介なのかもしれない。彼が使う武器は細工がしてある場合が多く、常識が通用しないのだから。 「レヴィはクロエとは違った意味でキチガイですから」 「違った意味?」 ゲイではないとか?……多分違うな。 「まぁ、瑞樹さんは気に入られてるみたいなんで大丈夫だと思いますけど」 「そうなの?」 「アイツ、俺らの言うこと全然聞かないんですよ。普通の友人位だったら問題無いかもしれないですが、組織となると別です。こっちがぎょっとする位単独行動をとります。勝手に。ニューヨークに来る前からそうなんですよ。流石にヒューイ師やグースからの命令は聞いてましたけど、作戦中に気がついたら居ないとかしょっちゅうです」 「へぇ〜」 私の中のレヴィさんと言えば、副業の商品の製造を黙々とこなし、休み時間には銃をいじっている位のイメージしか無い。 確かに、どちらかと言えばインドアタイプで実践には向かないのかもしれないが、単独行動を率先的にとるほど我が強い様には見えない。 「でも、それ位でキチガイ扱いは酷いんじゃない?」 そう言うとルーカスさんは暫く無言になって、 「『知らぬが仏』てやつですね」 と、流暢な日本語で諺を呟いて、肩をすくめてみせた。 「じゃあ報告は以上なんで」 「あ、うん。ありがとう」 ルーカスさんにお礼を言いながら、ぼんやりと今の会話を反芻する。 思えば、この家に住む人達は私なんかについてきてくれた人達なのに、私はこの人達の事を何も知らない。 資料を折りたたんでポッケにしまう。 セラードの情報を探るよりも、まず目の前の人達を知るべきなのかもしれない。 ルーカスさんの部屋の時計を見る。開店時間が迫っていた。 シャーネはもう来ているだろうか。 声の出ないシャーネは接客には向かないので商品の製造を主に任せてはいるが、いつも早くに来て開店準備や遅くまで閉店作業を手伝ってくれる。 元の時代なら労働基準法に反するだろうなという長時間労働を黙々とこなすのだ。 何度か「そんなに働かなくても」という話をしたが「他にやることがないから」と返されてしまった。 それ以来は、きちんと残業代を払うことで話はまとまっている。 「あれ?」 ルーカスさんの部屋を出ると碧眼と目が合った。 |