絶対勝利宣言
「く、黒無常?ご褒美はまだお預けだよ?」
「何でだよ!栄誉式神になっただろ!」
「でも……前回は負けてたし…」
「その時も努力賞貰ってるぞ!?」

余程好きにできると楽しみにしていたのか、いつもより粘る。
だけど、栄誉称号なんて今まででもかなりの回数貰っているし…
毎回それだけでご褒美となると、他の式神さんと不公平になる。
それにご褒美を用意するのも発端は黒無常の我儘から。
これ以上我儘ばかりを聞いていたら、取り返しのつかない状態になってしまう。

「さっきも言ったけど…黒無常はとっても強いから…」
「うん…?」
「強いから、ご褒美たくさん貰えてばかりだなんて、不公平でしょ?」
「…?そんなもんじゃねぇの?」
「……まぁそうだけど…でもね、逆の立場になってみて?気に食わないと思わない?」
「あー………んー………そうだな……」
「私は黒無常だけの陰陽師じゃないから…皆の事も考えると、栄誉称号貰う度ご褒美はちょっと……」
「よし……分かった、つまりみこが納得する結果を報告すれば良いんだな?」
「え……えっと……例えば?」
「後の三戦、いずれも栄誉称号を貰ってくる。」

黒無常は自分が何を言っているのか、理解しているのだろうか?
でも、顔を見れば真剣な眼差しで、並々ならぬ闘志を燃やしているようだ。

「分かった…黒無常の言う通り、三戦とも栄誉称号貰ってきたら、ご褒美をあげるよ。」
「ククッ…そうこねぇとな!」


意気揚々と向かった二戦目。
線上相手は雪童子。
氷で固まらせる攻撃は、彼にとっても致命的なはず。
自らの妖気で生命力を回復する点においても、決して楽な相手ではない。
だけども、対策が万全なようで打ち負かし、塔を折ろうと攻めていく。
しかし相手の忍や中路専式神が、応援に駆けつけ勢いを奪われる。
集団戦が始まると、先頭に立って圧をかけて相手を後退させていく。
黒無常は圧力をかける間に勢い付いていく。
とうとう相手が抑えきれなくなり、あっという間に勝利した。
あと二戦。
勝てないとは思っていないけれど、立場的には補助式神が栄誉称号を貰いやすい。
更に言えば、単独で戦闘を続ける上路は集団戦評価が低くなりがちだ。
そこを補うには線上相手を圧倒して、中路や下路へ加勢に行くしかない。
つまり、線上相手に負けたりしてしまうと、称号を貰える確率は低くなる。

「ははは…俄然やる気が出てくるし、燃えると楽しくなるな。」
「おかえり…次の試合は少し時間空いてるから、ご飯を食べに行こうと思うんだけど…」
「ん、ついていく。食った後は少し位、良いだろ?」
「んー…交合い以外ならね!」
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