二つ目
「そう!今日はお礼がしたくって!」
「えぇ、分かってますよ。そのご好意を余すことなく受け取らせていただきますね。」
「…って言っても、難しかったんじゃねぇのか?友達には程遠い俺達に礼を用意するのは。」
「あの!お二人は甘い物はお好きですか?」
「嫌いじゃないが…なぁ?」
「我々は鬼である故、あまり口に物を入れないのです…ですが、それは普段の話ですのでお気になさらず。」
「…、……!では、お茶を点てますね。」

きっと忙しい中、時間を合わせていらっしゃったんだ。
この時だけでも、少し日頃の疲れを癒すことができたなら…
その思いだけでもてなす。
熱い湯に溶けた茶は澄み切った若葉色になり、仄かに匂いを漂わせる。
そして薄く切り揃えたういろうと一緒に差し出す。

「よい香りがしますね…………口当たりも大変良いですね。」
「堅苦しいのあんま得意じゃねぇんだよな…」
「…!どうぞこの部屋で好きなだけ寛いでください!これがお礼ですから。」
「え?そうだったのか…じゃあ遠慮なく。」

正座していたのをさっそく胡座になり、好きなように食べ始める。
気を張っていない、素の二人を見れてほっとした。
誰かといられる時間があるのは、寂しさを感じることもないから心地いい。
ふと、黒無常様の手が重ねられる。

「なぁ、巫女さん。」
「どうかしました…?何でも仰ってくださいねっ。」
「…………巫女さん……好きだ。」
「ありがとうございますっ。私も無常様のことをお慕い…」
「違う、そうじゃない。俺は巫女さんを愛したい。」
「…?!」
「巫女さま、私からも言わせてください…私も……僕も巫女さまを愛おしく思ってます…この心、受け取っていただけますか?」

白無常様も近づき、お二人に挟まれて体温が一気に跳ね上がる。
わ、私、もしかして、無常様に、告、白っ!?

「あ、あああの!よ、よく分からないっていうか!その!」
「巫女さんを俺のものにしたい、そう言えば伝わるか?」
「巫女さま、どうか僕の隣にずっといてほしいのです…」
「まままっま、待ってください!わ、私達まだ出会ったばかりですよね?!」
「何だ?惚れるのに回数なんて関係あるのか…?」
「……一目惚れの勢いではありませんよ。巫女さまが宮司殿に対する態度、我々に対する優しさに惹かれたのです。」

じっと目を見つめられる。
こ、こんな風に接せられたことなんてないから、頭が混乱状態になる。
な、なんてお答えすれば良いんだろう?!
別に嫌いではないし、むしろ慕っているから断る理由もないけど…!!
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