勝利を!
押しつぶされそうになる位、二人は私を抱きしめた後、戦場へと向かった。
どうやら二戦とも同陣らしい。
敵対するよりはましだけど、それでも目が足りなくなる。
今度の黒無常の相手は般若。
彼にとっては余裕綽々で裁ける相手、負ける心配はなさそうだ。
今回は白無常の方をじっくりと見てみよう。
面霊気相手だ…前に出て率先して技を出す彼女と違って、後ろから援護するのが強味な彼とは相性がよくないかも…
同時に晴明井に戻ってきた二人…

「強がんなよ、俺はお前とみこだけを守ることが存在意義なんだからな。」
「自分のことは自分で守れます…無駄口開く暇があるのなら、貢献なさい。」
「ハハッ…背中は頼んだぞ。」

いつも白無常は黒無常のことを邪険に扱いがちだけど、確かに兄弟の絆を感じた。
お互い指示を出し合い、抜群の団結力で勝利を収めた。
黒無常が栄誉称号を貰っていることを確認して出迎える。

「あともう一戦…よし、なんとかなりそうだ。」
「僕も最大限助力はしますが…あまり一人で突撃しないでください。」
「すまん…けど、俺はお前を信用して頼りにしてるからな。」
「………僕だけでなく、射術の方や遊撃者の方にも目配せをお願いしますよ。」

まっすぐな言葉に白無常も少したじろいでしまったみたい。
いいなぁ、兄弟って!
気がつかない間に、笑顔が広がってしまっていたのか、頬を挟まれた。
無常のことを笑ったりしないのに…

「ぅしっ…!!じゃっもう一戦頑張ってくるわ!」
「いってらっしゃい…健闘を祈ってる。」
「勿論勝利!栄誉はこの手に!待ってろよ!」
「行ってまいります。」

意気揚々と戦場へ駆け出す。
見れるようになれば、即時に術を展開させて観戦する。
相手は…酒呑童子…!!
さすがに鬼王には勝てっこないよ…!
これはとても苦しい戦いになりそう…黒無常…頑張って…!
中路は…不知火ちゃんだ…!
舞うように戦う彼女も苦しい戦いを強いられるね…
この試合…勝てるのかな…
射手はお狐さん、補助は蛍草ちゃん、遊撃手は鬼切さん…
みんな、頑張って…!
手をぎゅっと握りしめて祈りながら食い入るように試合の行く末を見守る。
相手が叢原火を狩っている間に、下路を陣地へと戻るように仕向けて石距を狩った。
妖力の違いはよく分からないけれど、現時点では五分五分だろう。
黒無常と白無常を見れば、苦戦している。
いつもなら二人とも下路へ加勢に行ったりしてるのに…
そんな白無常の元に、石距を取った勢いのまま鬼切さんが加勢に行く。
その様子を見た上路の二人が、いがみ合いながら中路へと向かって集団戦となった。
三対三になると黒無常の負担が大きい。
命からがらに晴明井へと戻った。
試合は中盤戦、まだまだ勝敗は分からない。
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