鬼使いの姿
黒無常の集団戦での負担が大きい中、どうにか張り合うことはできている。
隙さえ掴んでしまえば、勝てそう!
…でも、それはあちらも同じだね。
張り詰めた空気の中、お互い出方を伺っている。
と、その時蛍草ちゃんが相手の射手を捕まえた。
それを逃さずに一瞬で討ち取る。
それをきっかけに集団戦が勃発した。
皆、己の力を振り絞ってぶつかり合う。
白無常が凄く強い…!
鬼切さんが不知火ちゃんをしっかり捕まえたおかげで、皆の強みが存分に発揮出来ている…!
治癒術も存分に浴びて、傷まみれになりながらも完全封印を成し遂げた!
そして八岐大蛇へ皆で総当りしに行く。
あっという間に狩れば、ひと休憩。
まだ復活しない間にどんどん中路の塔を折っていく。
相手が復活して雑兵達を処理し始めると、年獣へと集合する。
この試合、勝てたも同然なのでは…!?
……
しかし、そう簡単には終わらず、試合時間は三十分を越えた。
どちらも満身創痍で戦っている。
ねぇ…黒無常、白無常…私は二人のこと、何があってもずっと信じてるからね…
戦神よ、どうか彼らに勝利をもたらしてください…


「……、……みこ……」
「…どうした?恋しくなったか?」
「いや、違う…あいつの声が聞こえたんだ。」
「僕もです………まだまだ諦める訳にはいきませんね。」
「……フッ……そうだな、そうでしかあるまい。」
「なんだか皆さん、とっても楽しそうですね…」
「あぁ、楽しいさ。全力でぶつかり合うこと。それを誰かに認めてもらえるっていうのは、気持ちがいいさ。」
「……それにしても…このままでは埒が明かない。どうします?」
「……うん、俺が囮になろう。下路を押し進める。気を引いてる間に頼んだ。」
「ふぇえ…っ!危険ですよ…!そ、そんなの…」
「俺は勝つ為に来てるんだ、勝てるのなら俺は何だってする…任せたぞ。」


相談しているのが見えた。
作戦を練っているのだろう…と、黒無常が一人だけで下路へと走りだす。
……もしかして囮に…?
茂みに隠れた皆は動かない。
黒無常も隠密行動をしながらも第三塔を折りにかかる。
さすがに無視できなくなった相手が動き始めた。
相手が下路へと集まって行くのを見れば、ようやくこちら側も動き始めた。
黒無常が心配でずっと追いかけたが、相手を上手く誑かして皆の元へと戻った。
警戒していた相手の遊撃手が八岐大蛇の妖力を横取りしようと飛び出たが、それをしっかり引き止めた。
そんな黒無常の姿が凄く格好良くて…これが戦場を愛する者…!
ようやくまた試合が、動き始める。
相手の塔が全て折れ、残りは本陣のみになった。
あともう少し…頑張って!
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