「よく来てくれたな、私が安倍晴明だ。」
「この度はありがとうございます。」
「昨日、晴明さんが仰っていた方が女の方だったとは…」
「私は神楽…お姉さん、よろしくね…」
「俺は博雅だ、晴明はちょっと胡散臭いが良い奴だぞ。」
「私は八百比丘尼と申します。困った時は何でも聞いてくださいね。」
「よろしくお願いします、私は…」
「今は名を出さなくていい。貴女はまだ何も知らない赤子同然だ。名というものは強い呪を伴う…ある程度力がついたら教えてほしい。」
「分かりました…私も今日からただの人間ではなくなるんでしたね。」

そう固くなることは無い、と優しく微笑む晴明様に心が落ち着く。
不思議な人だ。
傍に居るだけでこんなにも安心できるだなんて。

それからは晴明様の下で陰陽術を教わる事になった。
何も知らない、神事をこなすことしか分からない私に、一から手解きなさる。
時折、晴明様は泣きつく妖怪達の問題を解決していく。
その姿を隣で拝見しながら、学んでいった。
実践は慣れないことばかりで、酷く体力を消耗しては寝込んでいた。
それもなくなっていく。
神楽ちゃんや八百比丘尼さん、博雅さんとも打ち解け、式神さん達とも話をするようになった。
特に犬神さんと一目連様とはすぐに打ち解け、仲良しになった。


「晴明!来たぞ!」
「早かったな、助かるぞ。」

キョンシーのお兄さんがまたどこかへと消えたという話。
前回は冥界にいたらしく、今回もそうかもしれないと晴明様は目星をつけた。
冥界へ行くためには案内人について行かないと行けないらしく…
その案内人の人が来たらしい。

「ん?前までそんな女いなかったよな?」
「あぁ、彼女は最近来たところでな…私の弟子だ。」
「は、初めまして…」
「ふーん…俺は黒無常、で…隣は俺の弟の白無常だ。」
「、、、…私達は冥界で鬼使いを務めています。よろしくお願いしますね。」

黒い髪を束ね、黒い着物を来た黒無常…
白く長い髪を下ろし、白い着物を着た白無常…
お二方はとても大きな人だった。

「彼女はまだまだ見習いだ、今回も少し勉強させようと思っている。」
「おー…なんか見た目は巫女っぽいのにな。」
「元々は禰宜としてこの身を捧げていました…」
「禰宜………」

少し何か考える素振りを見せた。
不安に思い見ていると、何でもありませんよ、と気を取り直した。
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