話し合いをし、五日後に退治に向かうことになった。
晴明様にその話をすると、緊縛術を教えようと協力の意思を示された。
そうして毎日、ひたすらに力を高め、退治への闘志を上げる。


「本当に行かれるのですね。」
「これも宮司様のためです…もう宮司様に心配をかけたくはないですから…」
「気をつけてね…お姉ちゃん…」
「禰宜様、大丈夫だ。あれ程準備をしたんだ…後は落ち着いてやれば必ずできる。」
「…はい…」
「黒無常と白無常がつくのは心強い事だ…頼んだぞ。」
「しっかり守ってくれよ?」
「あぁ、もちろんだ。」
「お任せ下さい。」

牛車に乗り、村へと向かう。
一人で乗った時はとても広く寝転ぶこともできたのに、一気に狭くなった。

「お、男の人に挟まれるのは緊張します…」
「何もしねぇよ…」
「よければもっと貴女のことか、私達のことについて話しませんか?」
「……私、やっぱり怖いです…でも心に決めた事なので戻りはしません。」
「芯が強いこった。」
「でも……本当はあの時……死んでいた方が楽だったのでは、と思うんです…力がないからと馬鹿にされ…追い出され…」
「…」
「とても悔しかったです…何もできなくて、迷惑しかかけられない…そんな情けない自分が生かされる理由など…」
「卑下するのは良いですが、生きることを放棄してはいけません。現に貴女に生きてほしいと願う人がいるのです。大切な人を悲しませるつもりですか。」
「……」
「生きてるからこそできることもある…こうやって、巫女さんは村を守るために、居場所を守るために戦うことを決めた。死んだら出来ないことだ。」
「…」
「大丈夫です…今のうちに泣くだけ泣きなさい。そして、その揺るがない思いを鬼達に突きつけてやりなさい。」

白無常様が涙を零す私をそっと包む。
宮司様にも昔こうやって慰められたっけ。
温かい。
優しい手。
他人事なのに寄り添えるなんて…

泣き疲れていつの間にか眠ってしまっていたのか、気づいた時には揺すり起こされていた。

「す、すみません…!」
「いえ、気分は落ち着きましたか?」
「はい、もう迷いはありません。」
「よし、じゃあ作戦を言うぞ。」


夜の村は静かだ。
仄かに明るい村を一目見て、鳥居を潜る。
もう既に周りの木々から妖怪達の気配がする。
しかし様子を伺っているだけなのか、特に近づくことはなかった。
警戒しながらも奥へと進む。
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