妖狐な彼
「なぁ、貴様は禰宜とやらにもう会ったか?」
「あ?あぁ、会ったぞ。あんなひ弱な奴の式神にもされた…チッ」
「ほう、小生も先程その話をされた。」
「あ"??ったくふざけんな…あんなひ弱な癖に守りが厚いせいで負けちまったしよ…」
「ふんっ、生涯の笑い話だな。」
「黙れっ!オメェもあいつら相手に勝てねぇよ。」
「あいつら…?禰宜とやらはもう式神がいるのか?」
「あ?あぁ、何だか知らねぇが風神と犬神と鬼使いの兄弟が仕えてるらしい。」
「犬神殿も黒白も晴明への恩義が強かったと思うのだが…」
「そうだろ?何でかねー…まぁ俺様は勝負に負けたから問答無用で式神にされたんだが。」

ますます胡散臭そうに感じる。
もしや、乙女も唆されて胡散臭ネギに…!?
あぁ…乙女よ、そんな男はやめておけ…
小生は必ずお前を幸せにするぞ…


「わーい!おじさーん!もふもふさせて!」
「あぁ、乙女よ、待っていたぞ!」

元気いっぱいの笑顔を見せる乙女はやはり素晴らしい…!

「妖狐、紹介しよう…彼女が私の弟子である禰宜さまだ。」
「は、はじめ…まして…」
「…!……男ではなかったのか?」
「何だァ?男だと思ってたのか?」
「貴様がひ弱だとか何だとか言うし…」
「彼は妖狐だ、夜叉よりは怖くないぞ。」

晴明の背から恐る恐る出てきた彼女は…
とても汐らしく可愛らしかった。

「妖狐さん…お狐さんなんですね!」
「あ、あぁそうだ。ふっ小生の美貌に見とれるなよ?」
「ふふ、確かにお綺麗ですね。キョンちゃんが懐くのも分かるなぁ。」
「でしょー!おじさんもふもふさせてくれるんだー!巫女のお姉ちゃんも触ろうよ!」
「あ、あぁ、さ、触ってみるがいい…優しく頼むぞ。」
「あ、ありがとう…ございます…失礼します…」

そっと置かれた手は温かく繊細な手つきだった。
綻んだ表情に思わず見蕩れてしまった。

「み、巫女の乙女よ…よければ乙女と三人でお茶に行かぬか?」
「お茶…?良いですね、お狐さんのこともっと知りたいです!」
「おや、彼女の事を気に入ってもらえたみたいだな?では、彼女の式神になってもらえるか?」
「喜んでなろう!小生は巫女の乙女のためならば何でもするぞ…」
「わぁ…頼もしいですね!よろしくお願いしますっ。」

こ、これは小生に気があること間違いなし!
後はこの小生に溺れさすのみ…
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