晴明より
「みこ、覚えているか?今日は私達が初めて出会った日だ。」
「…!そうだったんですね!」
「あれから早くも二年が経った、色々あったな。」
「えぇ…はい…たくさんありましたね…!」
「何よりも、出会った時より随分と明るく、霊力も強くなったと感じている。」
「本当ですか…!嬉しいです!」
「よく、頑張ったな。これからもよろしく頼むぞ。」

晴明様の大きくて優しい手が頭をゆっくりと撫でる。
そっか…二年前の今日に私はここに来たんだ…
記念日……二人と出会ったのはそれからいつだったんだろう。
少し強めに照りつけてくる日光を浴びながら、咲いている花達を見る。
菖蒲や皐月の鮮やかな花弁に乗った水滴がきらきらと輝いている。
無常は初めて会った日を覚えているのかな…


「へぇ、今日が晴明のとこに来た日なのか!」
「うん、あれから二年も経ってたけど、全然気づかなかったな。」
「そっかー…じゃあ俺達と会った日もよく覚えてないだろ?」
「えっ、う、うん…ごめんね?」
「ん?何で謝るんだ?覚えてなくても不思議じゃないからな。気にするな!」
「大切な人と出会った日を覚えてないなんて、私は凄く悲しいよ…」
「しょうがねぇよ、みこは宮司と別れたばっかだったんだから。」
「でも…」
「そうだな、ここに来た記念って言うなら、皆にも祝ってもらおうぜ!」
「へ…えっ?!」

突然、黒無常に腕を引っ張られてどこかへと歩き出して行く。
特別祝ってもらうような日じゃないのに…
ただ、ここにお世話になりに来た日ってだけで…
それも宮司様が事件に巻き込まれたからこそ、ここに来たのであって…
確かに晴明様達と出会えた事は、とても良かったことだと思う。
だけども、宮司様が事件に巻き込まれなかったら、私達は出会えなかった。
つまりは、宮司様の死を喜ぶことになる。
ぐいぐいと引っ張り進む黒無常の顔を見れない。
私はとても祝ってもらう気分じゃない。
もちろん、黒無常に悪気はないなんて、百も承知している。
ただ進んでいくのを黙ってついていく。

「………みこ…?何でそんなに暗い顔してるんだ?」
「………」
「晴明に出会えたいい日じゃねぇか!もっといい顔してくれよ…」
「黒無常、手を離して…」
「…、……」
「黒無常、手を離して。」
「………」

不本意だろうけど私の式神である以上、命令には逆らえない。
命に従った手が掴んでいた腕を離す。
離れればそのまま下を向いたまま逃げだした。
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