向かう先は
「あぁ、これは我の単なる興味なのだがな?」
「…?」
「お主の旦那は妖怪か?」
「はい…?そうですけど…」
「そして二人もいるのか?」
「え、えぇ。駄目でしたか…?」
「いやいや!もしや、鬼使い兄弟か?」
「え…!?」
「いやぁ、お主から少し冥界の匂いがしたものでな!違うのか?」
「す、凄いですね…大当たりです…」
「ふふん!これでも神じゃからな!あぁ、すまぬ、思ったより長話になってしまったのう。」
「いえいえ……少しの間は顔を見たくないって思ってたので…」
「今の気分はどうじゃ?」
「なんだか、救われた気がします。」
「…そうか!なら良いのじゃ!お主の幸せは決して、否定するものではないぞ!」
「はい…大切な人と出会えた喜びを分かち合ってきますね!」
「うむ、よい笑顔じゃ!早く行くと良い、旦那が心配しておるぞ!」

手を振りながら、神社を後にするみこを見送る。
そうか…お主は無事に新たな運命と出会えたのじゃな…
それに安倍晴明のところにいることも分かって一安心じゃ。
お主はもっともっと、幸せになるべきなのじゃ!
その幸せ、ずっと見守っておるからのう!


式神さんに晴明殿まで導いてもらい、帰ってきた時にはもう日が沈みきろうとしていた。
黒無常…まだいるかな…

「はぁっ…はぁ…式神さ…ありがと!」
「うむ、また我を頼ると良い。」
「黒無常……お仕事に戻っちゃったかな…」

紙人形へと戻して、一人で庭園で探し歩く。
きっと黒無常は落ち込んでるはず。
あんな態度をとったことを早く謝りたい。

「みこさん!帰ってきてたんですね!」
「小白くん…!…あ、あの。」
「みこさん、小白に着いてきてください!」
「う、うん…」

大きな尻尾を振りながら歩く小白くんについていく。
小白くんがいたと言うことは、晴明様から何か…
一体何だろう…もしかして何か用事があったりしたのかな…?


「あーー……みこおっせぇなぁ……」
「乙女は時間をかけて現れるからこそ、良いのだ。」
「でも、黒いのが言わなかった限り、私達はこの事を知らなかったわ。」
「そうだな、私や神楽達は来た当日に挨拶しているが、お前達は式神になる日だからな。」
「あの子の下について二年か…道理で一段と成長していると感じるのだな。」
「いやはや、会った時と比べて随分と自信もついたみたいで、わしも安心して見れる。」
「そうねぇ、指示も素早く出来るようになっているし。」
4/5
prev  next