「…おかえりなさい。」
「ふふっ…二人は晴明さまと何をお話してたの?」
「秘密、です。」
「三人とも今日は色々と聞いて悪かったな。さぁ、部屋に戻るといい。」
「はい…晴明さま…また、明日…」

部屋を出、自室へと戻るのを見送る。
外で待っていた小白が、ようやく近づいてきた。

「セイメイさまと鬼使い兄弟の会話は聞いていて地獄でした…」
「あぁ…もう暫くはあの二人と話したくない…」
「晴明さん…禰宜さまのことなんですが…」
「うむ、どうだった?」

今先程見た光景をありのままに話す。
そして閻魔様からの言葉も合わせて伝えた。
晴明さんは暗い面持ちになる。

「やはりか……どうしたものか…」
「彼女は本当に妖怪となった屍人…なんですね…」
「小白はとても悲しいです…巫女さまは今まで通り接してくれるんでしょうか…」
「きっと大丈夫ですよ…ただ、そのことに触れなければ…の話ですが。」
「この事を一目連、犬神、夜叉、妖狐、妖刀姫、三尾に話さなければいかんな…」
「心配ですね…皆さん彼女を慕っていましたし…彼らとの関係も見守っていたのに…」
「そうだな…この中でも妖刀姫が一番の悩みの種だ…」
「妖刀姫さん…凄く悲しむでしょうし、怒るでしょうね…」

自己満足というもの以上に、自分勝手というものは厄介だ。
これからもずっと傍で見守る…いや、観察の方が正しいだろうか。
こんな悲劇を起こしてしまったことは、悔いても悔やみきれない。
しかし、もう終わってしまったことだ…
過去を悔やむだけでなく、今を守ることがこれからを左右する。
どうか禰宜様の心が壊れることなく…
妖怪となった身で三人、共に生涯ずっと幸せに暮らしていけることを願うことしかできない…
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