五.バカップル会話
「……いつもあんな感じなのか?」
「…………えぇ、ごめんなさい…あんなの見せてしまって。」
「いや…予想以上に熱いな…」

鬼切がみこにお土産を渡すついでに何か話をしたかったみたいで、案内をしたのだけど…

「黒無常、今日の闘技も格好良かったよ!」
「あんがと、みこもいい采配が出来てきたな。」
「白無常も助けてくれてありがとう…」
「いいえ…貴女が汚れる必要はないですから…」

昼間から縁側でいちゃつく三人にため息が出る。
私のこともたくさん褒めてくれたし、私もみこのことを褒めたわ。
その時も彼らは彼女を褒めていた気がする。
まだ続けてたわけ…?

「…少し時間を置いた方が良いか…?」
「そんなことしてたら一生渡せないわ。まだ話してるだけましね。」
「どういうことだ?」
「そうね、昼間からどこかで営んでることもあるから…」
「…………」

何で私はこんなことを言わないといけないの?
鬼切も呆れたのか言葉が出ないみたいだし。
私の思うことは正常で、あの黒白が異常で間違いないのよね?

「行きましょ、私から話しかけるから。」
「すまない…頼んだ…」
「大丈夫、慣れてるから…………みこ、ちょっといい?」
「…!妖刀ちゃん…鬼切さん?!どうしたんですか?!」
「話の途中に失礼する…少し禰宜殿と話がしたかったのだが…これを渡して帰るとする。」
「遠慮なんていらないわ!私もみこと話がしたかったの、良いでしょ?」
「……えぇ、どうぞ。」
「……」

少し強引に押すくらいじゃなきゃ、この黒白はずっと着いてくるからね。
喜んでいるみこと一緒に歩く。
後ろを振り向けば明らかに不機嫌そうな二人。
いい気味ね。

「鬼切さん、ありがとうございます。」
「うむ、甘いものが好きなのだろう?」
「はい!それにこの屋台のものどれも美味しくて好きなんです。」
「気に入ってもらえてよかった。」
「ねぇ、みこ、あの黒白と一日中あんな風にしてて飽きないの?」
「え?うーん…たまに仕事してても絡まれるからちょっと困ってるけどね。」
「俺はああいう場面に慣れてなくて、妖刀姫がいなければ帰っていた…」
「え!ご、ごめんなさい…」

まあでもみこは優しいから余計に絡まれるのかもね。
別に私は否定するわけでもないし。
むしろ…今日も仲良さげで安心する方が大きいかな。
喧嘩してる時は、こっちも落ち着かなかったんだから…
あれ位の溺愛っぷりを見れないと、私は不安になる…
私もある意味毒されてるのかも。
5/20
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