七:気まずい空気
いつものように遊びにきた黒無常に押し倒された。
そして流れるように着物を脱がしていく手に抵抗する。
しかし、口付けをされれば、酸欠で何も考えられなくなっていく。
首元を這う舌から逃れようと襖の方を見た時、ばっちりと視線が合ってしまった。


いつかはこんな日が来るのではないか、とは薄々思っていた。
だけど、見られていた時は胸も丸見えで足元も大分はだけていた気がする。
急に襲われたこともあって声も我慢しきれなかったし…
……うぅ……もう童子ちゃんとこれからどう向き合ったらいいの?!

「…………これは大人の愛し方だ。だから、お前たちも………」

後ろで黒無常が童子ちゃんに諭している声が聞こえる。

「あの、でも……巫女さまは嫌がってた…気が…します………」
「…」ウンウン
「…嫌よ嫌よも好きなうちだ、恥ずかしがってるだけさ。」

襖から覗く童子ちゃんの瞳と目が合った時は、それはそれはとても驚いた。
黒無常に慌てて伝えれば、無言で立ち上がって襖を全開するも、呆然と立ち尽くしていた。
顔は真っ赤になっていて、どうやら刺激が強すぎたようにも見える。
いけないものを見てしまった時って、凄く釘付けになるし腰が抜けちゃうよね…

「はぁ……続きがしてぇんだが…」
「や、やだよ!せっかく童子ちゃんが来てくれたのに!」
「なら、早くこっちにこいよ…」
「…………」
「誰だって濡れ場を見られたことあるって!気にすんなよ。」
「あ、あの……僕たち帰りますね…」
「へっ?!や、まっ待って!行かないで!」
「…ぼ、僕たちは何も見てません!ですから…巫女さま…遊んでください…」
「…………」
「思いきって一発やるか?」
「もう黒無常は黙っててっ!」

黒無常はただただ脱がす側だったんだから、何も気にすることがない。
それに脱いでたとしても気にしなさそうだ。
童子ちゃんにはいてほしい…けど、このままというのも居心地が悪い。
た、助けて……誰か助けて…
部屋の隅で膝を抱えて、どうにもならない状況に涙が出てくる。
と、急に後ろから肩を抱かれ、体を引き寄せられた。
黒無常の膝の間にすっぽりと収められる。
驚いて顔を見上げれば、唇を塞がれた。
そしてあろう事か、童子ちゃんに見せつけるように舌を絡ませてきた!
必死に胸板を押したり叩いたりして、暴れる。

「…!!!嫌がってる!!離せ!!!」
「ヌハァッッ!!!!」

黒童子ちゃんの強烈な頭突きにより、黒無常は気絶した。
口元を拭って童子ちゃんと共にそそくさと部屋を出て、何とか逃げることができた…
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