十一:風邪気味
……
朝起きたけど、体が重い。
それに、くしゃみがよく出る……
最近寒かったから風邪気味なのかもしれない。
いつ大きな頼まれ事をされるか分からないのに、風邪なんてひけない。
薬草を煎じて飲んでおこう…誰に頼めばいいのかな?

「えーっと…今日は……は…っ……ふ……くしゅんっ!」
「………あらまぁ…風邪ですか?」
「んー……そうみたい……でも大丈夫だよ。」
「いけませんわ、今日は特に寒いのですから寝た方がいいですわ。」
「三尾は心配性だなぁ…まだ熱はないからだいじょ……ふっ…くしゅんっ!」
「そんなにくしゃみをしてるのに大丈夫じゃないわ!」
(………これは、黒か白を連れて来た方が良さそうかも。)


妖刀殿にみこの様子を見に来てほしいと言われ、庭園へと来た。
わざわざ呼びに来られる程だから、何かあったに違いない。

「実は…禰宜さまったら、風邪気味なのに働こうとしてるの。」
「なんと…今日は太陽も出ず、冷気吹き付ける日だと言うのに…」
「今、三尾が説得して書物の方を読ませてるんだけど…寝かせてほしいの。」
「分かりました、幸い今のところは黒無常一人でも何とかなりそうですし…」

まさか…少し無茶をしがちなのは知っていたが、体調を崩してもなお指導するとは…
まったく…こじらせたらどうするつもりなんでしょう?
妖刀殿の案内について行けば、確かに廊下に座り、納得いかない顔で書物を手にしていた。

「みこ、今日は寒いですね。」
「…!白無常…!」
「あなた、風邪をひいたのに寝ないそうじゃないですか。」
「か、風邪なんてひいてないよ!」
「…鼻声ですよ……はぁ…ほら、布団に入りますよ。」
「う…強硬手段!断固反対!私は元気なのに!」
「元気なのですか?では…目交いますか?」
「う、嘘です…起きた時ちょっと…体が重たかった…」

白いのに抱えられ、部屋へと連れ戻されていく禰宜さまを見てほっとする。

「あんまり暴れないでください…」
「だって!強引なんだもん!」
「…熱、出ますよ……一緒に寝ますから、じっとなさい。」

熱が出なければ大丈夫だと思っているんでしょうか?
出てからでは遅いと言うのに…
不機嫌の色を全面に出した表情にため息ばかり出る。

「皆、心配しているのですよ…倒れたらどうするんですか?」
「…た…倒れないもん…」
「強がりも良いですが……あぁ、僕に甘えたくないんですね。」
「え…!や、やだ!一緒にいて!」
「最初からそれで良いんですよ。」

ようやく大人しく寝る気になって一息つく。
いい所は悪いところにもなりうる…
あんまり、心配かけないでくださいね。
11/20
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