「もう一回…っつー言われても…」
「だめ…？」
「ﾝｯ………」

そんな期待した目で見られちゃ断れないだろ…
…ったくもう…別に見せもんじゃねぇんだがなぁ…

「あ…でも助けてくれたんだよね…ありがとう。」
「…お、おう……」
「じゃあ何か対象がいないと出来ないのかぁ…」
「…出来るぞ？別に……見たいか？」
「…！してくれるの？！見たい見たい！」

あー…今日も俺の嫁が可愛い…
そういや…この能力使うところ見たことないのか…
まぁ、そんな危機的状況に陥ったことないし…
鎌を自由自在に操れるとは言ったが……

「どうしたらいい？」
「んー…じゃ、ここにいろ…当たりそうでも動いたらだめだからな？」
「う、うん！」

その場に立たせ、鎌を持って距離を取る。
大分歩いたところで振り返る。

「じゃあ行くぞー！」
「──はーい！」

鎌をみこに向かって思い切り投げる。
ぐるぐると横に回りながら、一直線に飛んでいく。
その鎌に神経を集中させ……

「──おらぁっ！」
「ひゃあっ？！！」
「……どうだ？満足か？」

鎌の回る勢いと共にみこを抱えて、回転斬りをする。

「すごーい！かっこいいー！」
「ははっ、あんがと。」
「鎌だけじゃなくて瞬間移動もできるなんて！」
「ん…まぁ、あんましないんだけどな。」
「でも凄いよ！どきどきしちゃった…」
「惚れ直したか？」
「う…うん……」

半分冗談に聞いてみれば頬を染めながら頷いた。
おいおい…本当に惚れ直すなって…照れるだろ？
あんまりこの能力を使っていい顔する奴はいなかったけど…
こんなにも喜んでくれるならもう少しこの体を有意義に使ってみるかねぇ。

「どうして教えてくれなかったの？」
「え……あー……うん……」
「……言いにくい？」
「だってよ……怖くねぇか？」
「んー…確かに怖いかもしれないけど…守ってくれるために使ってくれるから…」
「……確かにそうだな…」

恐怖に怯えるのは、いつも妖怪を恐れる者や亡霊共ばかり…
こいつの前で使って、怖がられるかもとか嫌われるかもとか考える方が馬鹿だったな。

「黒無常は優しくて強いもん…」
「…そういうこと言ってくれるの…本当に可愛いなぁ…」
「えへへ…だって本当のことだし…」
「はぁ……可愛い…」

って惚気けてたら、また溺愛しすぎだとか言われるけど…
こんな可愛いこと言うんだから、可愛がらなきゃだめだろ！！
よし、今夜もたっぷりと可愛がるか…！

12/20