十五:ふと目に入った…
隣を歩くみこを盗み見る。
小道具を入れた風呂敷を抱えて、何か考え事をしている。
歩く度にぴょんぴょんと跳ねる髪が可愛らしい。
今日はいつもに増して風が強い。
束ねた髪が浮き上がって背中側に行ってしまいそうだ…
むずむずとした感覚を我慢しながら、腕を組んだ手を固く締める。
一際強い風が吹いた時、羽織った着物が捲れながら流される。
なんか…すげぇ………見てはいけないものを見てる感じがするなぁ……
外に出る前に整えた髪が、風に遊ばれて原型を崩していく。
首元にかかった髪が流され、隠れていた部分が顕になった。
その下から俺達が幾度もつけた痕が現れた。
咄嗟に目を逸らす。

「今日は風が強いね…飛ばされちゃいそう。」
「そ、そうだな…」
「………?どうしたの?」
「な、何でもない……」

困ったように笑いながら髪を直す。
よく首につけると泣きながら、『見えるからつけないで』と訴えられる。
確かに…いくら隠れるとは言え、ふとした事で見えてしまうっちゃあ…見えるな。
自分で付けておきながら、昨夜のことを思い出して少し気が乱れる。
あ…なんか……良いな…
皆に慕われて…今日だって頼まれ事をされて、向かってる途中なのに…
そんな禰宜様が、俺達の嫁で…
表向きには清純に見えて、でもちょっと覗き見たら、男の痕だらけで……
断れない、断る理由もない、むしろ求めてできたもので……
それが自分がつけたもので……
……………
今から会うやつも、きっとみこは何も知らない、無垢な女の子だと思ってるんだろうな…
俺達の調教が行き届いている、淫乱娘だとも知らずにさ……
……なんか…すげぇ興奮してきた…

「晴明様にこれを渡してこいって、受け取ったんだけど…何が入ってるのかなぁ?」
「さあなぁ…」
「お仕事終わったら、どこかに寄って行く?ちょっと位なら寄り道できそうだし。」
「お、本当か?じゃあ、寄り道しようか。」
「ん、黒無常に行きたい所があるなんて珍しいね。」
「いや…ついさっき見つけたところだ。」
「…?そっか、じゃあ終わったら行こうね。」

俺が何を考えてるかも知らずに、楽しみに笑う姿。
はぁ…これが、何刻後かには嫌がりながらも好きにされちまうんだろ…
それでその、首にある跡が新しくまた増えてさ…
都のやつらはみこを禰宜様として頼ることしかできない。
けど、俺達はどんな風にも出来ちまうんだぜ…

(あー早く仕事終わらねぇかなぁ!)
(……何だか黒無常が凄くご機嫌だ…)
(どこでやろうかなぁ…外でも人が来ねぇ場所…)
(…嫌な予感がする……行きたい場所ってどこだろう……でも約束、しちゃったしな……)
15/20
prev  next