「あ…」
「おっ。」
「…みこも帰りですか？」
「うん？無常もお仕事終わり？」
「はい、今から向かおうかと思ってました。」

派遣調査を頼まれていた社から帰る途中で無常と会った。
二人揃っているなんて珍しいな。
なんて思っていれば、救援を要請され今さっき現場の調査が終わったところらしい。
皆で仕事終わりの帰り道か…！

「一緒に歩いて帰ろう？」
「あぁ、帰ろうか……荷物、貸しな。」
「いつもありがとう…」
「これ位当たり前だって。ほら、手。」
「…偶然出会えて、帰路を歩けるのは嬉しいですね…頑張った甲斐があります…」
「無常も毎日大変なお仕事お疲れ様！休みの間にゆっくり体を休ませてね。」

持っていた風呂敷を黒無常が代わりに持ってくれた。
代わりに両手をそれぞれ握られる。

「今日は私が給食当番なの！食べる？」
「おぉ、みこの手料理ですね！もちろん食べたいです！」
「うんうん、嫁の上手い手料理はな…！」
「ふふ……じゃあお手伝いお願いしますっ。」
「はい、仰せのままに。」
「おうよ、任せとけ。」

普段は食べることも少ないのに、私が作る日であれば毎回食べる二人に笑みが溢れる。
ご飯を作るのが自分では、上手なのか下手なのか分からない。
けど、こうして喜んでくれるのならもう少し料理の勉強もしてみようかなと思える。
皆が一番だと言うのは夜叉くんか犬神さんだ。
犬神さんは何となく分かるのだけど、まさか夜叉くんもなんて。
でも割烹着が似合っているのは事実だし、ちょっと面白い。
そう言えば無常は、料理を作ることはできるのかな？

「ねぇ、無常は料理できる？」
「料理ねぇ、無理。」
「えぇ、その必要がないですから…食べたかったですか？」
「うん…まぁ食べれるなら食べてみたかったなぁって。」
「おー、焼肉ならできるぞー！」
「あはは……それは料理なのかな…」

女は家事、男は仕事。
まんまそんな結果になってしまったけど…
普通じゃないし、料理ができないからと言って何か悪いわけでもない。
それに特に黒無常は力仕事の方が似合ってる。
白無常も手先は器用だけど、商談の方が向いてそうだ。
献立の話や派遣先での話…
暗くなっていく道を三人で並んで歩く。
無常と会えて良かった。
一人で行ってたから、帰り道が怖かった。
けど、二人といれば怖い夜道でも、もう少し歩きたくなる。
こうして手を繋いで歩けるのって何だか幸せだなぁ…

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