「もうすぐ年越しだな。」
「晴明様、星占いの方はいかがですか?」
「うむ、悪くは無い…みこも星占い出来るようにならんとな。」
「…!星占いが出来たらきっともっとたくさんの事を知れるんですよね…」

冬も本番を迎え、雪もちらつく。
星の輝きが一層増した夜空。
あと数日で大晦日が訪れ、新たなる年を迎える。

「みこ、やり残したことはないか?心残りのないよう、新年を迎えるんだぞ。」
「私は特にありません!あとはこの屋敷を磨くことだけですかね。」
「ふむ、そうか…式神達の願いを聞いてやることも忘れずにな。」

頭を撫でられる。
晴明様の方が圧倒的に仕事量も多いはずなのに、いつも気を使ってくださる。
抱負は今よりもっと晴明様の力になれること、だろうか。

「みこー、黒白から手紙だよ。」
妖刀よとちゃんありがとう。」
「何だか忙しそうだったわよ。」
「……そっか…」

手紙を妖刀ちゃんに渡すだけ渡したという事は…また暫く会えないってことかな…
年末は一緒に過ごしたかったのに…
せめて正月は一緒に迎えたい。
受け取った手紙を開いて読めば、いつもより走りがちな白無常の字。
その下に殴り書くように書かれた黒無常の字。
『除夜の鐘が鳴り始めるまでには、間に合わせるつもりなので、待っていてください。』
『三賀日の休暇を貰うつもりだから待っててくれよ!』
と、書かれていた。

「へー…案外綺麗な字書くんだ。」
「うん、意外だった?二人とも上手なの。仕事でも筆を取るからだと思うのだけど。」
「三賀日、一緒にいられると良いわね。」

妖刀ちゃんにもいつも見守ってもらっている。
特に黒無常があまり気に入らないらしいけれど、お互い信頼はしているみたい。
妖刀ちゃんと出会った頃は、傷つけてしまうのが怖いから…
と、人から遠ざかることが多かったけれど、私の力によって精神も安定した。
そのおかげで笑顔も増えて、今では一番の友人でもある。

「妖刀ちゃんはもうやり残したことは無い?」
「私はないよ。ただ、来年もその先もずっとみこの式神でいられるのなら、それ以上は望まないわ。」
「あ、ありがとう…何だかとてもかっこいいこと言うね…」
「刀は本来主人に仕える物だもの。そして妖刀姫の主人はみこ、貴女よ。」
「……、…こんなにも立派な刀に相応しい主人になれるよう、もっともっと精進するね!」
1/5
prev  next