大晦日、皆が慌ただしく明日の用意をする。
私ももちろん台所に立って明日の準備を手伝っている。
午前中はどたばたと進めていたのも、夕方頃には落ち着いた。
式神として力を貸してくれた皆と話をする。
暇人達による集いだ。

「いやぁ、禰宜殿!今年一年で随分と逞しくなったと思うぞ!」
「乙女に逞しくなっただと!巫女の乙女よ、より一層美しくなったな。小生の隣にいないのが何より残念だ…」
「あ、あはは…まだ狙ってたんだ…」
「当然であろう!小生はまだあの黒白を認めたわけではないぞ!」
「心配しなくても一生隣には来ねぇって。」
「何をっ?!」
「わー!やめて!もうっ!お狐さんと夜叉くんはもうちょっと仲良くしてよ!」
「はぁ?無理無理、こいつ以外ならまぁ聞いてやるぜ。」
「あぁ!小生もこんな奴さえいなければな!」
「まぁ喧嘩する程仲が良いとも言いますしな。」
「んだとぉっ?!」
「犬神よ!こやつは貴様の言う九命猫のような者だぞ!?」
「…、…」
「何で煽るの!そろそろ怒るよ!」
「ケッ………」

隣に座る妖刀ちゃんも呆れているようだ。
気づけば私にも多くの式神がついていたことに気づく。
一目連様、妖刀ちゃん、三尾、犬神さん、お狐さん、夜叉くん…そして黒無常と白無常。
皆大切な仲間だ。

「禰宜様?黒無常さんと白無常さんは来ますの?」
「多分来るはず……」
「今夜の鐘が鳴る前に…本当に来るかしらね?それまでは一緒にいましょ。」
「うん、ありがとう。」

仲間ではなく、もっと大切な存在になった二人…
契こそは正式に結んでいないが、夫婦なのも同然。
そして、この関係は皆理解していて、見守ってくれている。

「あいつらも忙しーんだな。」
「冥府でもきっとたくさん仕事があるんだと思うよ。」
「俺様もそんな忙しいことは御免だが暇なのも飽きる。なんか面白ぇ事は無いか?」
「うーん……荒川に行ってみたら?あそこ色んな妖怪が集まってるらしいよ。」
「荒川ねぇ……」
「そうだ…禰宜殿、来年の抱負などはありますかな?」
「抱負?そうだなぁ…もっと皆に相応しい陰陽師になれること、かな!」
「おぉ、更にその力を高めるのですな!」

順番に各々の抱負を語っていく。
抱負…か…
黒無常と白無常も今ここにいて、お話できたら良かったのにな…
……
ううん、夜には絶対来てくれるはずだから…
来たらいっぱいお話しよう。
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