熱情(VD)
「あー…申し訳ないですが、職務中は個人的な贈り物を受け取れない規則がありますので、ご遠慮願います。」


と…何度今日だけで言っただろうか…
数日前から勿論渡しに来る馬鹿共もいたから…はぁ…数えるのも億劫になるほどだ。
政府からももう少し強めにこの賄賂規定について、市民に忠告してもらいたいものだ。
確かに俺がかっこいいのは、紛れもない事実だ。
だからと言って、勘違いした女共が群がってくるのは、迷惑でしかない。
邪魔されながらも巡回を終えて帰城した。
休憩がてら執務室に入れば、ふわりと甘い香りが漂う。


「あ…おかえり、ちょうど良かった、おやつ食べる?」

「おやつ…?もしかして、バレンタインのプレゼントか?」

「うん、そうだよ。手軽に作れるガトーショコラを作ったの。お口に合うと良いな…」


ラッピングもされず、皿にホール状のまま乗せられたガトーショコラを差し出された。
ああ、これだ、これ!俺はこれが欲しかった!
さっそくフォークを手に取り一口放り込む。
すぐにチョコの濃厚な香りが広がり、噛めば、くるみの香ばしい味わいと心地よい食感。


「はぁ…美味い…」

「良かったぁ…甘すぎたりしない?」

「俺はもうお前の食べる物に合った舌になってしまったからなぁ…凄く美味いぞ。」

「へ…あ、えへへ…なら、良いのだけど…」

「ほら、お前も食え…あーん…」

「あ、あーん……はむ……ん…美味しい…!」


膝の上に乗せ、一口運んでやれば顔を綻ばせる。
可愛い嫁を目で味わいつつ、美味いおやつを食す。
手で心地よい触り心地も堪能して…あぁ最高だ…


「そういえば、プレゼントを渡しに来る人とかいなかったの?」

「はぁ、それか…腐るほど居た。全て断るのにも疲れるというのに…」

「ふふ、お疲れ様…やっぱりモテるんだねぇ…」

「俺はお前にさえモテれば良い…お前が俺だけを見てれば…それだけで良い…」

「心配しなくても、義理チョコは市販品を渡したよ。手作りはタウだけじゃなきゃダメ、だなんて言われて困ったけどね。」

「いや、当たり前の事だろう?俺の嫁なんだからな、俺以外に手作りを渡す必要がどこにある?」

「…ふふ…相変わらず、独占欲が強いね…」


呆れられてしまったが、これこそ特別感というものだ。
俺の嫁だからこその特権を味わなければ意味が無いだろう?
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