まだこれから
公務室で三人、書類に目を通しながら話をする。
今朝からタイウィンさまが演練の方に行ったのは、謎の士気上昇の原因調査と聞かされた。
シュネル様に悪いことしようとしてる人がいたら、凄くショック…

「ローマンさんはどんな風に見てるんですか?」
「俺か?俺は闇市場の情報も聞いてるから、それだと思っていてな。」
「まだ闇市場が…」
「こればかりは、郊外との差を埋めない限りはなくならない。よく出歩く奴なら会っていても不思議じゃない。」
「でもでも、悪い人を捕まえるのも仕事ですよね…?」
「一応はな。ただ、全員が正義感の塊というわけではない。」
「そっかぁ……今回の調査で何かが分かると良いですね。」

昼休憩を挟んでも終わらない書類整理に、嫌気をさしたシュネル様を宥めつつ進めていく。
出来るなら今日中に終わらせてしまった方が良い。
公務終了の一時間前でようやく書類の整理、確認が終わった。
座りっぱなしで凝った体を思いっきり伸ばす。

「何とか終わったな。これで明日が楽になったぞ。」
「おぉ、それはいいね。二人ともありがとう。」
「早く終われて良かったですっ。」
「ったく…溜めてた奴がよく言う。」
「僕も溜めたくて溜めてたわけじゃないんだけどな。」

扉を開けて山盛りの書類を三等分にして運び出す。
と、扉のすぐ近くで演練が終わったタイウィンさまが警護役を変わっていた。
疲れ切っている私達を見て、代わりに書類を持ってくれた。
シュネル様の分も重ねられ、かなり重そうだ。
かなりの量の書類を政務部に運び入れて、今日の仕事は終わり!

「三人ともお疲れ様です。」
「いやぁ今日は凄く頑張ったよね。」
「普段からこれ位頑張ってもらいたいが…タイウィン、何か分かったか?」
「分かったという訳では無いが…」

何かを楽しみにする兵がいるという報告。
まだその中身は分からないとのこと。
ただ、不穏な雰囲気は感じなかったらしい。


部屋に戻ってからずっとキスをしているせいか、苦しそうだ。
何度も何度も重ねては離れ、腕を掴んでいた手からは力が抜けていた。
隊員達に気に入られる事は良いことでも、やはりこの嫉妬心は抑えきれない。

「ミコ…すまない……ただ嫉妬してるだけなんだ…」
「はぁ……はふ……」
「許してくれ…」

まだ息を整えている途中にまた重ねる。
それでも戸惑っていた手が背中に回った。
受け入れられたのだと思い、ベッドに押し倒していく。
ただ苦しそうにしていた表情も、少し和らいだように見える。
顔を出しただけで、あれ程やる気を上げさせる位にアイドル的存在になっている。
ミコは私だけの可愛い幼馴染なんだぞ…
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