大厄介
如何わしい絵柄の抱き枕を処理して、戻ってくれば隊列を整えて私を待っていた。
ただならぬ雰囲気に、私も気をより一層引き締める。
集団の圧に負けないよう、睨み返す。

「タイウィン隊長!隊長にとってミコさんはどんな存在ですか?!」
「………それはもちろん大切な人だが。」
「そう!我々にとってもかけがえのないアイドル!彼女こそオアシス!」
「隊長、賭けをしましょう。」
「賭け?」
「どちらがよりミコさんを推しているかの勝負です!」
「彼女の幸せを願い!理解を深め!あの笑みを絶やさせない!」
「我々は密かながらに親衛隊を結成し、数多の情報を集め、補佐さんを見守ってきました。」
「隊長の補佐である以上、過ごした時間とやはり会話の量は負けるかもしれません、が!こちらも生半可な気持ちではないですよ!」
「…………」

申し訳ないが、その勝負は私から見ると何も知らない無邪気すぎる挑戦だ…
だが、ここで受けないとなれば、彼らに先程の行動も含めての活動を許可することになる。
やはり牽制は入れたいところだが…
あまりにも差を見せつけてしまうと、上下関係以上の仲だと気づかれてしまう。
これは困ったな……

「何だ、今から訓練を始めようって雰囲気じゃないか。」
「あれ…?本当だ…てっきり喧嘩しちゃうのかと…」
「ローマン…良いところに来たな。少し良いだろうか?」
「あん?どうしたんだ?」

ミコがローマンの背中に隠れながら戻ってきた。
仲裁役が欲しかったのだろうが、本当に良い判断で助かった。
今の状況を説明し、事情も分かっているローマンに助けを求めてみる。
怪訝そうな顔をしているが、不思議そうにこちらを見ている彼女を見てため息をついた。
ローマンにしてもこれを解決しなければ、面倒事が片付いていないままとなる。

「隊長!我々からの挑戦、受けていただけますか!?」
「受けなければ、貴方達は納得しないのだろう?」
「もちろんです!隊長が勝てば、我々は潔くこの活動をやめます。でも、こちらが勝てたら堂々とやりますよ!」
タイウィン、どうせなら分からせてやったらどうだ?
「…………」
「タイウィンさま……どんな勝負かは分からないけど、もしかして勝つ自信がないんですか…?」
「…!?」

不安そうに見上げ、今にも泣きそうな顔に驚いてしまう。
君がどうしてそうなるんだ!?
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