いざ勝負
勝つしか道はなくなり、半分自棄気味に挑戦を受けることになった。
彼らが提案したのは知識較べ。
まだまだ見習い騎士達である彼らにとっては、平等に戦える場だ。
しかし……幼い頃から一緒だった私に勝ち目などないぞ?

「どちらの方がミコさんを理解出来ているか…それはミコさん自身で判断してもらいたく!」
「は…はい……」
「知識較べと言ってもですねー、早押しクイズではなくー。」
「ミコさんなら二択のどちらを選ぶか、を我々が当てるゲームです!」
「じゃあ私も参加者になるんですかね?」
「お願いします!」
「いざこざが小さくなるなら何でも良いから、早くしろ。」
「問題はローマン団長にお願いしても良いですか…?」
「は?作ってないのか?」
「この場凌ぎの提案で…いや、元から挑もうとは思っていたんですけど。」
「まぁ良い、適当に考えてやる。」

仲裁役に連れてこられたローマンも巻き込む形となってしまった。
事の大きさを理解していないミコは、自分も参加出来ることにワクワクしている…
何としてでも阻止しなければ、今後の彼女に対する視線が今以上に……
あぁ!そんなの駄目だ!!
たとえミコの心は私だけだとしても、絡まれる機会が増えるのを許せるわけがない。

「問題を頑張って5個出してほしいですー。」
「回答は合図で一斉に。右手か左手を挙手で!」
「…じゃ、さっそく一問。ミコが得意なのは、右の弓術、左の治癒術どちらだ?」
「えへへ、何だかドキドキしちゃいますねっ。」
「…、…」

ほんのり頬を染めて、ちらりと私を見る。
答えが決まった所で、せーので全員左手を挙げた。
揃っているのを見て、ぱぁっと表情が明るくなる。

「少し簡単すぎたか…なら……早起きが得意なら右、違うなら左、どうだ?せーの…」
「はう……だらしないのがバレちゃう…」
「………」
「補佐さんも案外、朝が苦手な人だったんですね!」
「だって、だって…眠いですもん…」
(まるで私のせいだと……いや…ほぼ私のせいか…)
「3つ目は…右は料理か、左は裁縫だな………良いか?せーの…」
「いやぁー、どっちでも美味しいですけど!」
「裁縫は怪我ばっかりしちゃって、出来ないんですよ…」
「ミコさんの手料理食べてみたいよなぁ!」
「えぇっ?そんな、特別美味しいわけじゃないですから。」

彼らが一問落とした以上、この勝負は勝ったも同然だ。
しかし…問題を出す度に盛り上がるのは、少し気に食わない。
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