理解者
「4つ目……あー…考えるのが面倒だな…」
「何でも良いんですよ!」
「じゃあ、ミコの一番はシュネルか?他の人か?」
「…っ!?」

これは…私にもどちらを答えるのか分からない。
戸惑いながらも視線はしっかりと私に向けられている…
ここでシュネル様が一番と言っても、当たり前の事だ。
何も気にすることはないというのに…
しかし、自分の気持ちに嘘がつけないのだろう…

「ご、ごめんなさいっ!」
「ええぇぇぇっ!!???」
「………」
「ほぉ?そっちを選ぶか…」
「あの!シュネル様以上に大切な人って!?」
「そ、それはもちろん…家族ですよ…」
「な、なるほど!親孝行な娘さんなんだなぁ…!」

家族…と言うのも間違いではない。
お互い、グローブの下には婚姻指輪が輝いている。
夫婦であることをそう呼んだのだろう。

「これで二つ間違えたな、もうタイウィンの勝ちだ。」
「やっぱり隊長は何でもご存知だった!」
「一緒に仕事をしていると、お互いの話をする時間もたくさんありますからね。」
「これで親衛隊と言う活動をやめてもらえるんだな?」
「はい……未熟者が集まってすみませんでした…」
「今度からはその情熱を訓練に費やすことだな。」

意気消沈した兵達が訓練の用意をするのを見届ける。
ようやく張り詰めた息を抜けた。

「ごめんなさい…」
「にしても…正直に答えるとは思わなかった。」
「てっきりここで牽制しろって意味で、あの質問をしてくれたのかと…」
「いや、俺はただ面倒になっただけだ。」
「ローマンすまなかった。だがこれで問題は解決出来た。」
「あぁ、みたいだな。お前達もさっさと公表すればこんな面倒事も起きないんだがな。」
「は、恥ずかしいです!お仕事してる時の距離感も好きなのに…」
「………私も、自ら呼んだ立場だからな…周りからの印象と比べると、ギャップが凄いだろう?」
「そうだな、まさか婚約までしてるとは誰も思わないだろうよ。」
「…、………っ……」
「ミコはこの話をするといつも照れてしまうな。さて、落ち着いてからで良いから戻ってこい。」

すっかりと静かになったところに置いていかれる。
隣に立つタイウィンさまを見れば、ばっちり目が合った。
腕が伸びてきて、ぎゅっと抱きしめられる。

「懐かれるのは良い事だが、少しは独占させてほしい…」
「…!じゃあタウが親衛隊長になるのはどう?」
「えっ…?」
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